日本聖公会「京都事件」で反省と再発防止を表明 提訴から24年 2025年10月21日

日本聖公会主教会(上原榮正首座主教)は10月15日、京都教区で起きた聖職者による性虐待事件に関して声明を発表した。声明では、いわゆる「京都事件」と呼ばれる一連の問題について、被害者への加害とその後の二次被害を含め「日本聖公会全体の課題」として受け止め直す姿勢を明確にした。
声明によると、前京都教区主教の高地敬氏は2024年11月、「京都事件」の責任を取り辞職する意向を表明し、2025年2月28日付で主教会の承認を得て辞職。同事件の責任を理由に古賀久幸司祭も定年を待たず、同日に辞職した。
主教会は2006年、当時の事態を受けて「被害にあわれた方々とご家族の尊厳の回復と癒やしを願う」との書簡を全国の教会関係者に発していた。しかし今回の声明では、その後の対応を「一教区の問題とだけとらえ、日本聖公会が性暴力にどのように向き合うべきかという視点が欠如していた」と総括し、組織としての限界と誤りを率直に認めた。
その上で、「被害にあわれた方々の声を真摯に聴き、寄り添い、尊厳第一とすること」「二次加害の防止」「第三者による助言を求める体制づくり」などを今後の課題として挙げ、「より安全な教会を築くというセーフチャーチの実現」を呼びかけた。
ここに至るまで、2001年の提訴から実に24年の歳月を要したことになる。
声明の全文は以下の通り。
日本聖公会 首座主教 ダビデ 上原榮正
日本聖公会主教会
主の平和がありますように
去る2025年2月28日付、前京都教区主教高地敬主教は2024年11月23日開催の京都教区第121(定期)教区会主教演説で、「京都事件」の責任を取り辞職の意向である旨が述べられ、その後主教会の承認を得て辞職しました。また古賀久幸司祭も定年退職を待たずに京都事件の責任により同日辞職しました。
いわゆる「京都事件」とは、日本聖公会京都教区で起きた聖職者による子どもへの性虐待事件(一次被害)と、その性虐待事件に対する京都教区の被害にあわれた方々への二次加害を含めた出来事の総称と捉えています。
主教会は、2006年3月16日付で日本聖公会各教会教役者ならびに同神学校校⻑宛書簡を発して、「主教会はこの事態を重く受け止め、被害にあわれた方々とご家族の尊厳が回復され、一日も早く心の傷が癒やされますよう願い、京都教区の聖職団と共にまことの悔い改めに至ることができるよう神の導きを求める」表明を出しました。
しかし主教会は、その後においてこの出来事を一教区の問題とだけとらえ、日本聖公会が性暴力にどのように向き合うべきかという視点が欠如していたと言わざるを得ません。
それではまことに不十分でした。また、主教会への報告は当該教区主教からという一方的なものであり、その報告を通して判断してきたという限界を持っていました。
この誤りから私たち管区、教区、教会は学ばなければなりません。被害にあわれた方々の声を真摯に聴き、寄り添い、あくまでも被害にあわれた方々の尊厳第一であること、二次加害が起きること、組織としてのガバナンスが弱く、第三者による助言を求める等。
私たちは改めて、より安全な教会を築くというセーフチャーチを実現させなくてはなりません。主教会としても、これまでの主教会のあり方を振りかえり、今後も日本聖公会全体の課題として受け止めてまいります。
私たちの病を負い、重荷を担われ、すべての人の希望である愛の神、主イエス・キリストが私たちを導いてくださいますようにお祈りいたします。神様が被害にあわれた方々に癒やしといたわりを豊かにお与えくださいますように、心からお祈り申し上げます。
以 上