超教派で「憲法フェスティバル」 平和憲法と信仰の接点を問い直す 2026年5月14日

憲法記念日を翌日に控えた5月2日、日本バプテスト連盟東京地方連合社会委員会、北関東地方連合社会委員会、神奈川地方連合社会部の共催による「キリスト者憲法フェスティバル2026」が、日本バプテスト連盟恵泉バプテスト教会(東京都目黒区)で開催され、教派を超えて6人の登壇者がリレートークを行った(キリスト者平和ネット、日本聖公会憲法プロジェクト、日本YWCA、日本キリスト教協議会=NCC=平和・核問題委員会協賛)。例年、日本バプテスト連盟の催しとして開催してきた企画だが、今回は他教派にも呼びかける形で行われ、さまざまな教派から約130人が参加。改憲論議が進む中、憲法9条や「個の尊厳」を信仰の立場から改めて捉え直した。
冒頭、日本バプテスト連盟泉バプテスト教会牧師の城倉啓氏が、憲法改正をめぐる国会情勢について報告。自民党と日本維新の会の改憲項目の共通点として、自衛隊明記や緊急事態条項創設などを挙げ、「改憲をめぐる動きは、これまでにないスピードで進んでいる」と警鐘を鳴らした。
続いて登壇したベリス・メルセス宣教修道女会の弘田しずえ氏は、イエスの非暴力を「愛の力によって暴力を変えていく生き方」だと語り、正義なき平和はあり得ないと強調。キング牧師やガンディーにも通じる福音的非暴力は、不正を打ち負かし、和解と愛に満ちた共同体を築く実践であり、暴力の連鎖を断ち切って新しい世界観を生み出すもの、「復活を生きる」とは悪や抑圧に抗い、世界は変えられるという希望を持ちながら新しい命の兆しを見出して歩むことだと述べた。
続いて日本聖公会憲法プロジェクト長で、NCC副議長の西原美香子氏は、同プロジェクトで戦争体験者の証言に耳を傾け、教会で平和や憲法を語る場をつくってきた取り組みを紹介。「戦争は、まったく知らない人同士が憎しみ合い、殺し合うこと」との証言を紹介し、「戦争は終わっても、人の人生を長く深く傷つけ続ける」と指摘。「神が与えた命を損なうことを、私たちは選んではならない」と訴えた。
在日コリアンの立場から発言した金迅野(キム・シンヤ)氏(在日大韓基督教会関東地方会会長)は、日本国憲法施行前日に公布された外国人登録令によって旧植民地出身者が「外国人」と見なされた歴史に触れ、「『すべて国民は』という憲法の言葉を朗読するとき、そこに自分が含まれているのか、口ごもってしまう」と率直な思いを語った。また、国会前で若者たちが憲法を朗読するデモの映像に励まされながらも、「『すべて国民は』という一文だけ、ざわっとしてしまう自分がいる」と吐露。「一緒に声を上げたいのに、その言葉だけは飲み込んでしまう。この感覚を仲間と共有したかった。憲法を否定したいのではない。むしろ、そこからこぼれ落ちてしまう人々をどう包み込めるかを考えたい」と打ち明けた。
キリスト者平和ネットを代表して発言した平良愛香氏(日本基督教団川和教会牧師)は、沖縄戦と米軍基地問題から考察した。「軍隊があるから戦争が起こる。軍隊は住民を守らない。このことを沖縄の人たちは身をもって知っている」と述べ、本土復帰によって「平和憲法の下に入り、基地がなくなる」と期待されたが、実際には基地が残された歴史や、ベトナム戦争当時、沖縄から医薬品を送ろうとした際に「薬を送る前に私たちを殺しに来るのをやめてくれ」と言われたエピソードを紹介し、「憲法9条とは、加害者にならないという決意でもある」と語った。また、欧米の「正戦論」的発想とは異なり、平和憲法の下で戦争を回避する糸口を探求してきた日本のキリスト教の独自性を自覚し、守っていく必要があると訴えた。
日本バプテスト女性連合の河内理恵氏は、17年間続けてきた沖縄平和学習ツアーについて報告。学習ツアーではガマや平和祈念公園を訪ね、基地建設に反対する人々の声に耳を傾けてきたという。沖縄戦や基地問題に加え、米軍関係者による性暴力被害の歴史にも触れ、「沖縄の問題を沖縄だけに押し付けてきたことを悔い改め、自分たちの問題として向き合いたい」と話した。
発言の合間にはギターによるゴスペルなどを交えながら、それぞれの立場から「単なる政治問題としてではなく、信仰と命の問題として捉え直す必要」を共有した。














