三浦綾子を次世代へ 同志社・堺で伝記漫画刊行記念イベント 2026年5月29日

日本聖書協会が6月10日に刊行する『伝記漫画 三浦綾子』=写真=の発行を記念したトークイベントが5月22日、 同志社大学(京都市上京区)同志社礼拝堂で、翌23日には大阪府堺市のチャペル・こひつじで開かれた。ゲストとして登壇したのは、三浦綾子読書会相談役で三浦綾子記念文学館特別研究員の森下辰衛(もりした・たつえい)氏。聞き手は本紙編集長の松谷信司が務め、三浦文学の魅力や伝記漫画制作の舞台裏について語り合った。
会場では、本邦初公開となる漫画原稿の一部パネルも展示された。『伝記漫画 三浦綾子』は、日本聖書協会による新シリーズの第1作で、今後は遠藤周作や村岡花子を題材にした作品も予定されているという。森下氏は、戦後日本においてキリスト教を深く社会に紹介した存在として三浦綾子と遠藤周作を「双璧」と評し、「読まれなくなったのではなく、若い世代に届くきっかけが失われているだけ。読めば必ず心に届く文学だ」と語った。
監修作業では、シナリオ担当者や漫画家と1年半以上にわたり打ち合わせを重ねたという。森下氏は、漫画を担当した高倉みどりさんが旭川や塩狩峠などのゆかりの地を訪れ、膨大な写真を撮影しながら制作に取り組んだことを紹介し、「単なる仕事ではなく、三浦文学に感動した上で描いてくださった」と振り返った。
また、小説家の伝記漫画化の難しさについても言及。「作家になった後は『この作品を書きました』という歩みになりがちで、ドラマとして構成するのが難しい」としながらも、読者との交流や晩年の老老介護のエピソードなどを盛り込むことで、「三浦綾子の人となりや信仰、生き方が伝わる構成を目指した」と説明した。

対談では、森下氏自身が三浦文学と出会った経緯も語られた。大学院受験の失敗と大病を経験した23歳の時、偶然手に取った『塩狩峠』に衝撃を受けたことが原点だという。その後、大学教員として学生と三浦作品を読み始めた際、「学生たちが変わっていった」と述懐。「苦難にも意味があるのではないか、と人生を見つめ直す若者が現れた。人が変わることほどの奇跡はない」と語った。
さらに、三浦綾子本人との交流についても回想し、「温かい人だったが、同時に非常に鋭い眼差しを持っていた」と語り、病床にある人や悩みを抱えた人に対し、時に厳しく、しかし深い愛情をもって向き合ったエピソードを紹介した。
イベントでは、文学作品としての三浦綾子だけでなく、日本社会においてキリスト者として生きることや、「にもかかわらず愛する」という三浦文学の核心についても語られ、来場者は熱心に耳を傾けていた。
6月27日にはジュンク堂書店池袋本店(東京都豊島区)でも、刊行を記念したイベントが予定されている。今回同様、森下氏に加え、三浦綾子の小説『母』など名作小説の朗読会を開催している元TBSアナウンサーの堀井美香氏が、三浦文学の魅力や作品世界について語り合う。詳細・申し込みは 丸善ジュンク堂オンラインイベントページ から。













