賀川豊彦と「世田谷郷」をたどる 下馬・上北沢でパネル展 2026年7月8日

社会運動家であり、貧民街伝道や労働運動、協同組合運動に生涯を捧げたキリスト者・賀川豊彦(1888~1960年)と、東京都世田谷区との関わりを紹介するパネル展「賀川豊彦と世田谷郷――上北沢から世界平和を訴えた社会運動家による下馬での戦災者支援」が、7月10日から区立下馬図書館・上北沢図書館で開かれる。会期は9月9日まで。10月10日から11月3日までは、せたがや未来の平和館(区立平和資料館)に会場を移し、内容を追加して展示する。
現在の都営下馬アパート周辺には、戦後間もない時期、旧陸軍の木造兵舎を転用した集合住宅があった。「世田谷郷」と呼ばれ、空襲で住まいを失った人々や引き揚げ者に住居を提供した。上北沢を拠点としていた賀川は、この兵舎群を被災者住宅として活用するよう国に働きかけた人物の一人だった。1946年2月28日には、「人間宣言」から間もない昭和天皇が世田谷郷を訪れ、賀川が案内役を務めている。
賀川は救貧活動や労働運動、生活協同組合や医療組合の設立など、「互いに助け合う」仕組みを社会に根づかせることを通して、誰もが人間らしく生きられる世界の実現を目指した。戦時中は平和を唱えて憲兵隊や警察に拘束され、日米開戦直前には平和使節として渡米、終戦直後には東久邇宮内閣の参与も務めている。自身の信仰と半生を描いた『死線を越えて』は大正期最大のベストセラーとなり、ノーベル文学賞・平和賞の候補にも挙げられた。
展示では、こうした賀川の生涯や平和運動に加え、食糧難を背景に世田谷郷の住民らが参加した「米よこせデモ」、地域住民への聞き取りをもとに再現した当時の暮らしなどを、写真・文献資料で紹介する。下馬図書館と上北沢図書館では一部異なる内容を展示し、平和館会場では下馬会場の内容に追加資料を加えるという。
関連企画も充実している。8月8日午後2時からは、賀川豊彦記念松沢資料館で同館副館長・杉浦秀典氏が「賀川豊彦の生涯」と題して講演(区立上北沢図書館に事前申込、先着30名)。同資料館の建物自体、かつて上北沢にあった旧松沢教会の礼拝堂を移築したもので、賀川の信仰の足跡をしのぶ場としてもふさわしい会場となる。
8月15日午後2時からは、三茶しゃれなあどホールで、杉浦氏による「賀川豊彦の人物像」と、阿部健一氏(『下馬兵舎時代の思い出』プロジェクト進行役)、塩原由香理氏(世田谷パブリックシアター)による「世田谷郷の暮らしとまちの思い出を尋ねて」を開催(下馬図書館より事前申込、先着78名)。いずれも参加費は無料。
10月18日午後2時からは、せたがや未来の平和館で、住民へのインタビューをもとに学生ボランティアが制作したオリジナル紙芝居が上演される(先着15名、直接会場へ)。申し込みは7月1日から、上北沢・下馬の各図書館で受け付ける。
パネル展・講演会に関する問い合わせは、下馬図書館(☎03・3418・6531)まで。















