【「親なきあと」をともに生きる~お寺と教会の〈語らい〉から始まる支援】 】「おとなひきこもり」への対応に期待 丸山康彦 2026年7月11日

神奈川県藤沢市で「ヒューマン・スタジオ」(ヒュースタ)という不登校とおとなひきこもり専門の相談室を20年以上続けています。5年前からは、藤沢市社会福祉協議会が受託している「生活困窮者自立支援相談」の不登校・おとなひきこもり分野で相談業務やコミュニティソーシャルワーカーへの支援や研修にも携わっています。
ヒュースタでは、一昨年度まで相談のほかに家族会や連続講座を定期開催していたのですが、連続講座の受講者に逗子市で地域家族会を立ち上げた方がおられました。その方は修了後にヒュースタの家族会の逗子開催を全面協力してくださったり、逗子市社会福祉協議会の方をご紹介くださったりしました。
「お寺と教会の親なきあと相談室」に加盟した逗子市の高野山真言宗佛乘院が、居場所イベント「親あるあいだの語らいカフェ」(語らいカフェ)の定期開催を目指して市内の関係者を集めた準備会に、市外で唯一私がお誘いを受けたのも、そんなご縁があったからです。
佛乘院が開催した語らいカフェは、毎回演奏会や講演会などのプログラムが行われた後にフリートークの時間が設けられました。当事者の家族だけでなく関係者、住職やその家族が渾然一体となって会話に花を咲かせる時間は、参加した方には親の会/家族会とは違った楽しさがあるようで、気持ちが楽になる様子が見られました。
神奈川県内では横浜市鶴見区の天台宗寶泉寺でも語らいカフェが開催されるようになり、現在はこちらが定期的に行っています。

佛乘院で行われた「語らいカフェ」では筝の演奏が披露されたこともあった
「親なきあと問題」は障がい児/者の家族には昔からあったわけですが、近年はおとなひきこもりに関しても、長期高年齢化に伴い大きな課題に浮上しています。
おとなひきこもりへの対応・支援は、長年「本人を立ち直らせる」という治療や支援の専売特許でした。ところが、本人が動けないなか家族がやっとの思いで相談窓口にたどり着いても「本人を連れて来て」「まずは規則正しい生活から」などと無理難題を言われ、プレッシャーをかけられるばかり。そのために相談できなくなる家族が続出しています。
私は、おとなひきこもりの長期高年齢化の一因は、そこにもあると推測しています。加えて、既存の支援は「幼少期」「学齢期」「成人期」「高齢期」と年齢を輪切りにしているため、おとなひきこもりへの対応にも年齢制限が設けられていて、長期対応が困難です。
その点、宗教施設は年齢にかかわらず人の一生に関わることができる上、「どうひきこもりを脱するか」ではなく「どう生きるべきか」の視点から対応できる社会資源です。
もはやひきこもり関係者だけが関与することの限界が見えています。そんな閉塞状況に「お寺と教会の親なきあと相談室」は、きっと風穴を開けてくれるでしょう。
まるやま・やすひこ 不登校・ひきこもり相談員事務所「ヒューマン・スタジオ」代表兼相談員・藤沢市社会福祉協議会アドバイザリー。不登校とおとなひきこもりの経験者として、多様な業務を通じて理解と対応のあり方を伝えている。著書に『不登校・ひきこもりが終わるとき』(照林社)がある。
*問い合わせは同相談室(https://otera-oyanaki.com/)まで。
【「親なきあと」をともに生きる~お寺と教会の〈語らい〉から始まる支援】 他人事ではないひきこもりと親の心配 堀内志乃 2026年7月1日















