【「親なきあと」をともに生きる~お寺と教会の〈語らい〉から始まる支援】 行政の壁と守秘義務の壁を越える 齋藤友昭 2026年7月21日

 ある時インターネットで偶然目にした、「お寺と教会の親なきあと相談室」の文字。障がいのある子やひきこもりの子は親がいなくなった後にどうやって生きていくか……。宗教者が生涯寄り添う……。躊躇する間もなく問い合わせのメールを打っていました。

 普通のお寺には人事異動も転勤もなく、定年もない。子や弟子に引き継げれば親子2代にわたり寄り添えるではないか! 2022年、一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室に参加することにしました。

 数カ月後には「お寺と教会の親なきあと相談室 佛乘院支部」を開設。電話や訪問での相談を常時受けつつ、障がいやひきこもりの子がいる親や家族に、安心してリラックスできる時間を――という思いで「お寺で休息~語らいカフェ~」を不定期で開催してきました。

 前半は音楽やマインドフルネスやアートセラピーなどで参加者に癒やしの時間を、後半はお茶を飲みながら自由に話をする時間にしました。参加された方々の多くが、来た時よりも明るい顔で帰られる姿に、相談室としての意義を感じていました。

 語らいカフェはこれまでに7回開催しました。檀信徒の中にもサポートが必要な方々がおられ、住職、私、母と時には子どもたちの力も借りながら相談室の対応をしていた中、大きな壁が立ち塞がりました。

 「行政の壁」。相談室や語らいカフェを周知するため、市の広報に載せてもらおうとしましたが、「宗教と風俗は掲載できない決まりです」と断られてしまいました。宗教活動ではなく福祉活動ですと言っても通りません。

 そうなると、毎回チラシを作り、知人を通じて配布し、時には掲載料を払ってタウン誌などに載せてもらうしかありません。SNSも使いましたが、8050問題を考えると市の広報が最善ではと感じました。

佛乘院で行われた「お寺で休息~語らいカフェ~」の会場。海の見える客間でリラックスできる

 さらに「守秘義務の壁」。必要な支援につなげることができても、その後は家族でも弁護士でもないので、何も教えてもらえないことがありました。契約をしていなければ、われわれは部外者でしかないのです。

 そうかと思うと、公的機関からこちらに丸投げされるようなこともあり、思うようなサポートができずに落胆することが続き、情けないことに気力が喪失してしまいました。

 ですが、気付かされました。お寺と教会の親なきあと相談室の代表や理事の熱意に触れ、共に活動したいと感じたこと。支部を開設しようと思った時、偶然にも逗子社会福祉協議会でひきこもりについての講演会があり、問い合わせをしたことから社協の方とつながり、常に協力いただいていること。

 講演会の講師だった不登校・ひきこもり相談事務所の代表や、逗子・葉山で活動されているひきこもり家族会の代表を紹介いただいたこと。この方々が相談室の開設に向けて、チームのように一緒につくり上げてきてくれたこと。

 協力してくれる方々がいること。楽しみに参加してくださる方がいること。こんなにも有難いご縁があり進んでこられたこと――。こうしたことを思い出しました。

 壁を感じた時、まるで自分たちだけで立っているかのように感じていましたが、共に歩んでくれている人たちに囲まれていました。

 誰かに寄り添い共に歩んでいこうとする道も、一人で歩くわけではありません。宗教者や宗教に携わる者同士、思いを一つにする人たちと手をつなぎ、皆で誰かに寄り添うことができたらと願っています。

 さいとう・ゆうしょう 高野山真言宗佛乘院(神奈川県逗子市)寺族。

*問い合わせは同相談室(https://otera-oyanaki.com/)まで。

【「親なきあと」をともに生きる~お寺と教会の〈語らい〉から始まる支援】 誰もが安心して過ごせる地域の語り場 櫻井久美 2026年7月21日

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