米ショー大学神学大学院 AIと「道徳的主体性」学ぶ博士課程新設へ 2026年8月6日

 米ノースカロライナ州ローリーのショー大学神学大学院は、人工知能(AI)と「道徳的主体性」を専門に学ぶ教育学博士(Ed.D.)課程を2027年春に開設する。道徳的主体性とは、人が善悪を判断し、自らの選択や行為に責任を負う力を指す。「レリジョン・ニュース・サービス」(RNS)が7月27日報じた。

 新課程の名称は「人工知能と道徳的主体性」。AIに関する基礎知識や活用能力と、道徳的推論、社会正義、応用神学倫理を組み合わせ、AI技術を批判的に評価し、人間の尊厳と公平性を守る倫理的な規範を形成できる人材の育成を目指す。公共部門や企業、教会などで、AIの責任ある利用を指導するリーダーを想定している。

 同大学は6月、地域認証機関の南部大学学校協会大学委員会(SACSCOC)から博士号を授与する承認を得た。ショー大学神学大学院は米加神学校協会(ATS)の認証校だが、新課程については同協会の認証委員会による承認手続きが続いている。ATSのクリス・マインザー最高執行責任者によると、承認されれば、米国とカナダの神学大学院約280校で構成される同協会の加盟校では、修士・博士課程を通じてAIを専門に掲げる初の学位課程となる見通し。

 第1期生の定員は12人で、2026年夏から出願を受け付け、2027年1月に授業を始める予定。修了までには3~4年を見込む。神学や牧会に関する修士号を持ち、牧会や社会福祉などの分野で5年以上の指導経験がある社会人を主な対象とする。教会外の仕事にも就く兼職の牧会者らの受講も想定している。RNSの取材時点で、少なくとも66人が関心を示していた。

 同大学は1865年、南北戦争に従軍したバプテスト派牧師ヘンリー・マーティン・タッパーが、奴隷制から解放された人々に教員、社会福祉、宗教教育の訓練を提供するため設立した。米南部で最初のHBCUとされ、公民権運動の指導者も輩出してきた。

 マーク・ハーデン神学大学院長は、同大学がかつて社会的に弱い立場に置かれた人々の識字教育を担った歴史を踏まえ、AIリテラシーの向上を「第2の召命」と位置付ける。AIはすでに医療、刑事司法、採用、公共政策などの意思決定に影響を及ぼしているとし、技術分野だけでは公正性や説明責任をめぐる問題を解決できないと指摘。人間の選択と責任について長年考察してきた神学と道徳の伝統を生かす考えを示した。

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