韓国・統合、女性総代義務化また否決 女性牧師14%でも総会代表は3.6% 2026年9月17日

 韓国の主要プロテスタント教団、大韓イエス教長老会・統合(以下、統合)は9月16日、第111回総会で、各老会(日本の教区・中会に相当)から女性総代を最低1人選出することを義務付ける総会規則改正案を否決した。女性総代の拡大をめぐる制度改正は前年に続き2年連続で実現しなかった。女性牧師の按手を認めて30年以上が経過し、女性牧師が3千人を超える同教団だが、最高意思決定機関である総会では女性が4%にも満たない状況が続いている。

 韓国の『뉴스앤조이(ニュース・アンド・ジョイ)』によると、改正案は総会規則の「総会組織」に「老会は派遣する総代のうち1人以上を女性とする」との条項を新設するもの。出席965人のうち投票では賛成492、反対408となり、賛成が反対を84票上回ったものの、規則改正に必要な3分の2に届かなかった。教団の総代は1500人で、各老会から牧師と長老が同数選ばれ、教団の政策や人事、憲法・規則などを決定する。

 前年の第110回総会でも、「10人以上の総代を派遣する老会は1人以上を女性とする」と定める憲法改正案が審議されたが、必要な賛成数にわずか2票届かず否決された。今年は憲法ではなく総会規則の改正という形で再び制度化を試みたが、同じ「3分の2の壁」を越えられなかった。2024年には女性総代・女性長老の割当制を制度化するための研究を進めることが総会で決まり、一部の老会では先行して女性総代を必ず選ぶ取り組みも始まっていた。

 背景にあるのは、女性牧師の増加と意思決定機関への参加との大きな落差だ。今年の総会に出席した女性総代は牧師22人、長老32人の計54人で、全1500人の3.6%。過去最多だった前年の57人(3.8%)からも3人減った。2024年は43人(2.8%)だったため長期的には増えているものの、依然として圧倒的少数である。

 一方、統合が公表した2025年の教勢統計を基にした牧会データ研究所の分析では、2024年末現在、教団所属の牧師2万3020人のうち女性は3221人で約14%。ところが主任牧師に限れば女性は8%に下がる。女性伝道師は全体の54%を占め、男性を上回る一方、女性教役者を対象にした調査では53%がパートタイムで働いていた。入口では女性が多数を占めても、牧師、主任牧師、さらに総会総代へと権限が大きくなるにつれて女性の割合が低下していく構図が浮かぶ。

 統合における女性按手の歴史は長い。女性への按手を求める動きは1933年の咸南老会による請願にさかのぼり、教団分裂後も1961年から女性団体などが繰り返し総会に働きかけた。『ニュース・アンド・ジョイ』によると、女性按手が実現するまで総会で14回採決され、13回否決された。1989年には賛成377、反対375と賛成が上回りながら必要な票数に達せず否決。最終的に1994年の第79回総会で賛成701、反対612となり制度導入が決まり、翌年の老会での手続きを経て、1996年に最初の女性牧師19人が誕生した。

 30年以上を経て、女性牧師そのものは珍しい存在ではなくなった。しかし、「按手を受けられること」と「教団の意思決定に参加できること」の間にはなお隔たりがある。同じ韓国長老派でも状況は教団によって異なる。韓国基督教長老会(基長)は1974年に女性牧師制度を導入した一方、保守系の大韓イエス教長老会・合同(合同)は現在も女性牧師を認めていない。今年9月には、女性に公的な説教資格を与える「女性講道師」制度導入のため前年に可決された憲法改正案も、各老会での批准に必要な賛成数を得られず最終的に成立しなかった。

 こうしたジェンダーギャップは韓国だけの問題ではない。日本では教派ごとに制度が大きく異なり、教会全体を横断する女性教職者や意思決定層の統計は限られているが、例えば日本基督教団では2024年3月末現在、正教師・補教師を合わせた教師総数3106人のうち女性は811人で、約26%にとどまる。女性の按手・教職への道が制度上開かれていても、男女が同程度の比率になっているわけではない。

 一方、日本聖公会は1998年に司祭への志願要件から「男性」とする規定を削除し、2022年には笹森田鶴氏が日本、東アジアで初の女性主教に就任した。さらに、教会の意思決定機関への女性参画を2022年までに30%とする「202230」の取り組みを経て、現在は2030年までに少なくとも40%とする「203040」を掲げている。

 日本福音同盟(JEA)でも現在、女性委員会が設けられ、2026~28年度の理事会には女性の副理事長、書記などが加わっている。ただし加盟する約100の教団・教派・教会・宣教団体では女性按手をめぐる立場そのものが異なり、日本の福音派を一括して論じることはできない。

 韓国教会で30年以上にわたって続く議論は、女性教職者を制度上認めてきた日本の諸教会にとっても、「誰が教会の意思決定を担っているのか」を改めて映し出すものとなっている。

日本聖公会北海道教区 初の女性主教誕生 笹森田鶴司祭が按手 2022年5月1日

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