日本聖公会北海道教区 初の女性主教誕生 笹森田鶴司祭が按手 2022年5月1日

 日本聖公会北海道教区は4月23日、マリア・グレイス笹森田鶴(たづ)司祭=写真右=の主教按手式および教区主教就任式を日本聖公会北海道教区主教座聖堂札幌キリスト教会(札幌市北区)で開催した。日本と東アジアで女性が主教となるのは初めて。式典はリアルタイムで世界に同時配信された。

「神の歴史の担い手」として
女性の司祭・主教按手には異論なお

 笹森氏は、1963年福島県生まれ。東北学院大学文学部キリスト教学科卒業、東京神学大学大学院神学研究科組織神学博士課程前期課程修了。99年1月同教区で、中部教区の渋川良子司祭に次いで女性として2番目となる司祭按手を受けた。その後、東京教区事務所勤務をはじめ、東京教区内11教会の牧師・管理牧師を歴任。2021年11月3日、植松誠主教の定年退職に伴い行われた教区主教選挙で、北海道教区主教に選出された。同月26日に主教被選者となり、22年4月より北海道教区へ移籍した。

 式典は、日本聖公会首座主教・九州教区主教のルカ武藤謙一司祭が司式。聖書のイザヤ書42章、詩編100編、コリントの使徒への手紙二4章が読まれた後、前日本聖公会九州教区のガブリエル五十嵐正司主教が説教を行った。

 笹森氏と35年にわたる交流がある五十嵐主教は、親しみを込めて「田鶴さん」と呼びかけ、笹森氏のこれまでの働きに敬意を示すと同時に、男性優位の日本社会において、女性の司祭として働くことの困難さを思いやった。また、日本および東アジアで初めての女性の主教に選出された重圧を、受胎告知の知らせを受けたマリアの悩み苦しみに重ね、ルカによる福音書4章3節も引用し、次のように励ました。

 「マリアを慰めたエリサベツがいたように、田鶴さんにも、北海道教区の人たち、日本聖公会の人たち、世界の人たちが、エリサベツとなっている。ありのままの自分で、これまでの心を込めた田鶴さんの牧会スタイルでこれからも務めてほしい。主の教会における主教の務めと働きのために、主の僕(しもべ)マリア・グレイスに聖霊を注いでください。聖霊を受けたならば、主教の務めと働きに歩み出してください」

 按手終了後、笹森新主教による初めての聖餐式が臨席の主教たちと共に行われた。式典の最後には、笹森氏があいさつに立ち、すべての関係者に感謝の言葉を述べた上で、北海道教区に向けて、自身をささげるために、新しい家族になるためにこの地に来たことを伝えた。

 あいさつの中で同氏は、今後の同教区の重要課題として、福音宣教の活性化を目指すために、東北教区、北関東教区、東京教区との教区再編・協働を挙げた。

 「今だけが新しくなる時なのではなく、私たちはこれからもずっと主によって日々新たにされていきます。互いの不安さを共有することからはじめ、主のみが私たちの道のりを示されるお方である事を信頼し、恐る恐る手探りの中で出会い、共にみ言葉を聞き、思い巡らし、祈り合い、サクラメントに養われ、主に忠実な神の家族でありたいと願っております」

 また、日本聖公会にとって初めて女性が主教按手を受けるという歴史的な出来事は、日本聖公会が多様な背景を持つ人々の信仰共同体であることを見える姿で示していると力を込めた。しかし、その一方で、女性の司祭按手および主教按手について反対意見や、違う思いを持っている人たちがいる信仰共同体でもあることを明かした。

 「今は長いプロセスの途上であり、日本聖公会の多様性の中で、一致への模索の機会が改めて与えられていると受け止めています。分裂ではなく、対話による一致への招きに私たちは応えなければなりません。そして、主教職が共同体全体で担われるという点で、北海道教区はその最初のモデルとなります。そのことを誇りに感じ、大いに神に感謝しています。

 歴史は誰か特別な人々によって形成されるのではなく、私たち一人ひとりの日々の積み重ねが織りなされて作られていくものです。その積み重ねが、神様の思いと重なる時、私たちは神の歴史の担い手、語り手となります。私たちの生活の只中にある一つひとつの小さな出来事に光を当て、希望を見出し、福音の喜びを伝えるものとして神の歴史の時を共に歩んで参りましょう」

 日本聖公会は、世界のアングリカン・コミュニオン(英国国教会を母体とした伝統的キリスト諸教会)に連なる日本のキリスト教会。北海道教区は日本聖公会を構成する11の教区の一つで、2024年には成立150周年を迎える。アングリカン・コミュニオンでは、今も女性を主教とすることをめぐり賛否が分かれ、深い対立がある。日本聖公会では、司祭への志願要件として「満24才以上の男であること」と法規第19条に定めていたが、1998年の総会おいて法規を改定し、「男」の条件を削除した。

 ニュージーランド、ポリネシア、オーストラリア、カナダ、アメリカ、キューバなどの聖公会では、すでに女性を主教職に叙任している。

女性司祭をめぐる聖公会の動き

1944年 聖公会で初の女性司祭(香港教区、非合法)
 70年 香港教区で「合法的に」初の女性司祭
 76年 米聖公会総会で女性司祭が認められる
 77年 日本聖公会の主教会が「婦人を司祭にする問
    題に関する諮問に対する答申」を承認
 86年 日本聖公会総会で女性の司祭按手めぐり議論
 89年 聖公会で初の女性主教(米マサーチューセッツ教区)
 92年 英国国教会で女性司祭が認められる
 94年 英国国教会で初の女性司祭
 98年 日本聖公会で初の女性司祭
2015年 英国国教会で初の女性主教
 18年 日本聖公会総会で「女性の司祭按手に関するガイドライン」改定
 22年 日本聖公会で初の女性主教

宣教・教会・神学一覧ページへ

宣教・教会・神学の最新記事一覧

TO TOP