災害時の宗教施設の役割に期待 「復興に向けた宗教者円卓会議」 2015年6月6日

 世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は5月19、20の両日、災害現場における宗教の役割を考える「復興に向けた宗教者円卓会議in東京」を国際連合大学(東京都渋谷区)で開催した。宗教やメディア、大学関係者ら約100人が集い、それぞれの立場から被災者支援のあり方について話し合った。この会議は震災以来、復興支援に取り組む宗教者と非営利活動(NPO)法人の代表らが協議する場として毎年開かれているもので、今回が4回目。

 両日とも二つのセッションが設けられ、初日は、復興庁復興推進参与の田村太郎氏が5年目を迎えた被災地の現状を報告したほか、障がい児や高齢者に向けた支援の取り組みとその課題について、宮城、福島、岩手からの発題がなされた。

 2日目は、前島宗甫氏(元日本キリスト教協議会総幹事)のコーディネートにより、「河北新報」の松田博英氏(報道部副部長)が連載「挽歌の宛先――祈りと震災」での取材体験を交えながら、「臨床宗教師の活動に対しては宗教者からの反発も多いが、信仰の異なる人々をどう支援していくかは大きな課題」と語った。

 大阪大学大学院准教授の稲場圭信氏(宗教社会学)は、内閣府の地区防災計画ガイドラインに寺社・教会などの宗教施設に関する言及がなかったことを受け、被災地での実態が知られていないことは「日本社会にとって大きな損失」と指摘。災害時の避難所に指定するなど、宗教施設を社会資源として位置づける必要性を強調し、「協定を結ぶことによって、現場の自治体と宗教組織との連携がしやすくなる」と提言した。

 続くセッション「福島県におけるコミュニティづくりの取り組みの課題」では、内部被ばくから子どもたちを守る母親たちの会を立ち上げた千葉由美氏、カベナントチャペル日本人教会長老の石川和宏氏らが、活動を続ける上での課題と苦悩などを吐露。

 参加者からは知らないことも多く、忘れていないとのメッセージを送り続けたいとの感想が聞かれた。

 

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