教皇フランシスコが逝去 前日の復活祭ではメッセージも 2025年4月21日

 教皇フランシスコが4月21日、ローマ時間の午前7時35分(日本時間午後2時35分)、バチカンのサンタ・マルタ館で逝去した。88歳。「バチカンニュース」によると、使徒座のカメルレンゴであるケビン・ファレル枢機卿は、教皇の訃報を次のように発表した。

 「親愛なる兄弟姉妹の皆様、深い悲しみとともに、聖なる父フランシスコの訃報をお伝えしなければなりません。今朝7時35分、ローマの司教であるフランシスコは父の家へと帰還されました。フランシスコ教皇の生涯は、主と教会への奉仕に捧げられました。彼は、福音の価値観を忠実に、勇気をもって、そして普遍的な愛をもって、特に最も貧しい人々や最も疎外された人々のために生きるよう、私たちに教えられました。主イエスの真の弟子としての彼の模範に深く感謝し、私たちはフランシスコ教皇の魂を、唯一にして三位一体の神の限りなくいつくしみ深い愛に委ねます」

 前日の20日、アンジェロ・コマストリ枢機卿により聖ペトロ広場で捧げられた復活の主日のミサの後、大聖堂の中央バルコニーに姿を見せた教皇は、「親愛なる兄弟姉妹の皆さん、復活祭おめでとうございます」とあいさつし、「パパモービル」で広場を一巡して巡礼者らに祝福をおくった。

 ディエゴ・ジョバンニ・ラベッリ大司教が代読した復活祭メッセージでは、「愛は憎しみに打ち勝ちました。光は闇を負かしました。真理は欺瞞を打ち破りました。ゆるしは復讐に勝利しました。悪は歴史から消えることなく、最後まで残るでしょう。しかし、悪はもはや支配せず、この日の恵みを受け入れる者たちに力を及ぼすことはありません」と力強く宣言。

 イスラエルとパレスチナの現状にも憂慮を示し、「世界中に広がりつつある、反ユダヤ主義の風潮の高まりは憂慮すべきことです。同時に、わたしの思いは、恐ろしい紛争が死と破壊をもたらし、悲劇的で恥ずべき人道状況を生んでいるガザ地区の人々へ、中でもキリスト教共同体へと向かいます」と言及した上で、紛争の当事者に対して「攻撃を止め、人質を解放し、飢えに苦しみ、平和な未来を切望する人々に手を差し伸べてください」と呼び掛け、政治責任を負う世界のすべての人々へは「自らを閉ざす恐怖の論理に屈せず、貧しい人を助け、飢餓と闘い、発展促進の取り組みを育てるために、資金を用いるように」と訴えた。

 教皇フランシスコ(本名ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ)は1936年12月17日、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。イエズス会に所属し、1998年にブエノスアイレス大司教に就任。2001年に枢機卿に任命された。ベネディクト16世の生前退位を受けて2013年3月13日、アメリカ大陸出身では初の教皇に選出された。非ヨーロッパ出身の教皇としては約1300年ぶり。

 2019年11月には4日間の日程で来日し、長崎、広島、東京をめぐって核兵器廃絶を訴える被爆者や東日本大震災の被災者らとも面会した。教皇としての来日は38年ぶりだった。

(撮影=山名敏郎)

教皇フランシスコ来日 「非核・平和は未来への責任」 被爆者、被災者、青年と面会 2019年12月25日

海外一覧ページへ

海外の最新記事一覧

  • 聖コレクション リアル神ゲーあります。「聖書で、遊ぼう。」聖書コレクション
  • 求人/募集/招聘