アフリカの教会 外国人排斥に国境を越えて抗議 2026年7月21日

南アフリカで他のアフリカ諸国出身の移民・難民らを標的とした外国人排斥暴力が続く中、アフリカ各地の教会・エキュメニカル団体が相次いで抗議の声を上げている。西アフリカ・キリスト教協議会・教会連盟(FECCIWA)は7月19日、南アフリカで起きている「外国人排斥およびアフリカ人排斥の攻撃」を非難し、同国政府に対して、被害者の保護と加害者の訴追を求めた。リベリアのニュースサイト「ニュース・パブリック・トラスト」および「オール・アフリカ」が報じた。
FECCIWAは声明で、アフリカ・メソジスト協議会(AMC)と南アフリカ教会協議会(SACC)の声明を支持すると表明。「ここ数日、数週間に南アフリカで起きた同胞アフリカ人の殺害」に深い悲しみと重大な懸念を示した。被害は、正規滞在者、非正規滞在者を問わず、長年家族と共に同国で暮らしてきた人々にも及んでいるとしている。
FECCIWAは、加害者を逮捕し責任を問うことが「命の尊厳」を守り、将来の暴力を抑止するために必要だと訴えた。背景には、リベリア政府が暴力を逃れた自国民17人を南アフリカから帰還させたこともある。
ナイジェリア・キリスト教協議会(CCN)も7月17日、AMCとFECCIWAに連帯し、移民や他のアフリカ諸国出身者に対する暴力を「人間の尊厳、アフリカの一致、平和的共生の価値への攻撃」と非難した。CCNは、南アフリカ政府と治安機関に住民保護と加害者の処罰を求めるとともに、アフリカ連合(AU)、各国政府、教会、市民社会に対し、平和、寛容、正義、汎アフリカ的連帯の促進を呼びかけた。
この問題をめぐっては、世界教会協議会(WCC)も7月13日に声明を発表。ジェリー・ピレイ総幹事は、南アフリカで他のアフリカ諸国出身の移民を標的とする暴力に重大な懸念を表明。外国人排斥は、正当な社会的不満を、保護の乏しい弱い立場の共同体へ向け直すものだと指摘し、教会は移民を犯罪者視する物語に対抗し、移住と排斥の背後にある構造的要因を明らかにしなければならないと訴えた。
WCCは、南アフリカが世界でも不平等の大きい社会の一つであることを認めつつ、その苦しみの源泉はしばしば覆い隠されていると指摘。今回の状況を、アパルトヘイトと植民地主義の継続する遺産として位置づけた。また、外国人排斥とアフリカ人排斥を「神に対する罪、人類に対する犯罪」と名指しし、慈善的対応を超えて、正義のための行動へ進むよう求めた。
全アフリカ教会協議会(AACC)も7月1日、南アフリカで繰り返されるアフリカ人排斥と外国人排斥暴力に重大な懸念を表明した。AACCは、経済的困難の原因をアフリカ系外国人に負わせる言説を「危険で誤った物語」とし、すべての人の安全は出自に関係なく守られなければならないと訴えた。
南部アフリカ・キリスト教協議会連盟(FOCCISA)も、失業、貧困、不平等、機会の不足といった社会経済的課題は現実であるとしつつ、それらが暴力、スケープゴート化、差別、非人間化を正当化する理由にはならないと表明した。教会と信仰共同体には、外国人排斥的な言説やヘイトスピーチに対抗し、受け入れ地域と移民の間に対話の場をつくる責任があるとしている。
「憂慮するアフリカ女性神学者サークル」は7月15日、南アフリカの外国人排斥が、アパルトヘイトと植民地主義の傷を抱える大陸に影を落としていると指摘。被害者の身体的被害だけでなく、精神的・心理的苦痛にも深い懸念を示し、南アフリカの政治指導者、教会指導者、市民社会、人権擁護者に対し、ウブントゥの遺産を守るため、明確で共同の応答を求めた。
ロイター通信によると、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は6月7日、外国人排斥暴力をあおる集団に対して取り締まりを行うと表明した。ガーナ、ナイジェリア、マラウイ、モザンビークは、抗議や暴力に巻き込まれた自国民の帰還を進めており、モザンビークは自国民5人が死亡したとしている。ラマポーザ氏は、移民が貧困や高失業率に由来する問題の責任を負わされていると述べ、市民が路上で身分証明を求める行為を戒めた。
南アフリカの外国人排斥は、単なる治安問題や移民政策の問題にとどまらない。アフリカの教会諸団体は、貧困や失業への不満が、より弱い立場にある移民・難民へ転嫁される構造そのものを問題としている。教会に問われているのは、被害者への祈りと支援に加え、差別を正当化する言説に抗し、同じ大陸に生きる隣人としての尊厳を守る公共的証しである。















