【「親なきあと」をともに生きる~お寺と教会の〈語らい〉から始まる支援】 誰もが安心して過ごせる地域の語り場 櫻井久美 2026年7月21日

偶数月の第3水曜日。自坊である浄土真宗本願寺派白毫山西光寺(大阪府茨木市)では「介護者カフェ~親あるあいだの語らいカフェ~」をオープンしています。午後1時~3時半までの2時間半、お寺の本堂にはさまざまな方が集まります。
障害のある子どもの家族、障害のある方、近隣住民、ケアマネージャーやファイナンシャルプランナーなど介護事業に従事している方。近隣の大学生、地域包括支援センターの職員さんが参加されることも。ですが、ここでは社会的役割は関係ありません。その時、その場にいる方々が語り合い、互いを知り合える空間となっています。
西光寺では2024年から「介護者カフェ」を開催しています。家族の介護に携わる方が日ごろの悩みを分かち合い、情報交換できる場として始めました。その後、「お寺と教会の親なきあと相談室」のことを知り、障害のある子どもを持つ家族からの要望もあって、翌年の25年4月から「お寺と教会の親なきあと相談室」茨木市支部として開設。隔月1回のペースで「親あるあいだの語らいカフェ」をオープンしております。
「親あるあいだの語らいカフェ」を開いてから、障害のある子どもを持つ家族と話す機会が増えました。「二十歳を祝う会」に、障害のある子たちも気持ちよく参加するにはどうしたら良いかを話し合ったこともあります。配慮の必要性や式典のある日に一緒にお祝いしたいという思い――。そこには当たり前のように出席できると思っている健常者には気付けない内容がたくさんありました。
私の次男も軽度の自閉スペクトラム症という障害がある子ですが、重度障害の方のことを知らない自分に気付かされました。同時に、お茶を飲みながらお話しできるゆるやかな場で知ることのできる大切さを感じました。

西光寺で行われている「親あるあいだの語らいカフェ」
障害についてのセミナーや講座は知識を知る上で必要な場です。制度や仕組みを知ることで支援につながることも多いからです。ただそこでは、日ごろの些細なモヤモヤやちょっとした悩みを解決してくれるわけではありません。知識とともに必要なのは「何げないことでも安心して話せる場」なのではないでしょうか。「二十歳を祝う会」の話し合いをしていた時も、「一人ではなくみんなで話し合える」心強さを感じました。
ある時、そこに参加してくれた中の一人からこんな言葉をいただいたことがあります。「お寺の本堂という、手を合わせることのできる場があることがありがたい」。普段、お寺を守っている者として、はっとさせられたひと言でした。
「親なきあと相談室」は、障害者やひきこもり当事者が親のいなくなった後に備える「親なきあと」問題に、伴走するという目的もあります。ゆえに情報提供や共有ができる場でもあります。しかし、場を開いて感じたことは、単なる相談の場ではなく「宗教者自身が知り、気付かせてもらえる学びの場」であり「日ごろのなんでもないことを話せる安心の場」でした。
それは、すべての人にとって必要な拠り所なのではないでしょうか。「誰も一人にしない」という仏様のお慈悲に守られて、これからも寄り添える場を開いていきたいと思います。
さくらい・くみ 浄土真宗本願寺派白毫山西光寺(大阪府茨木市)坊守。任意団体 むすびや寺こや代表。自閉スペクトラム症の次男をもつ3児の母。お寺を拠点に誰も一人にならない社会を目指して、地域コミュニティ活動を行っている。
*問い合わせは同相談室(https://otera-oyanaki.com/)まで。
【「親なきあと」をともに生きる~お寺と教会の〈語らい〉から始まる支援】 「おとなひきこもり」への対応に期待 丸山康彦 2026年7月11日















