深井智朗氏の論文など7編で新たな捏造認定 3大学が共同調査 「単なる注意義務違反ではなく故意」 2026年8月1日

 金城学院大学(名古屋市)、聖学院大学(埼玉県上尾市)、東洋英和女学院大学(東京都港区)は7月31日、日本基督教団愛泉教会牧師で東洋英和女学院大学元教授の深井智朗氏が執筆した論文など7編について、研究活動上の特定不正行為に当たる「捏造」があったとする調査結果を公表した。3大学は深井氏に対象著作の取り下げを勧告し、出版元にも認定結果を通知した。

 報告書によると、深井氏の著作に関する不正行為の申し立てについて、日本学術振興会と国際日本文化研究センターから2025年3~5月、聖学院大学に計4回の情報提供があった。深井氏がすでにいずれの研究機関にも所属しておらず、対象著作の発表時期に複数の大学に在職していたことから、聖学院大学、金城学院大学、東洋英和女学院大学が協力して調査委員会を設置。同年8月から今年4月まで調査した。

 対象となったのは、1996~2016年に刊行、掲載された著書の一部や論文7編。教文館刊『十九世紀のドイツ・プロテスタンティズム』の2章、岩波書店の月刊誌『思想』、金城学院大学や東洋英和女学院大学の紀要などに掲載された論文が含まれる。調査委員会は、資料の所蔵先とされた機関への照会や引用元の書籍の確認、深井氏への質問と聞き取りなどを行った。

 その結果、7編すべてで根拠とされた資料の所在や引用箇所が確認できなかった。確認不能とされたのは、引用箇所25件、資料32件に上る。所蔵館で使用されていない資料番号が記されていた例もあった。委員会は、深井氏に引用元や代替資料の提示を求めたが、具体的な回答や資料は示されず、聞き取りでも「研究者として未熟であった」と述べるにとどまったとしている。

 報告書は、存在を確認できない資料を根拠として示す行為を「捏造」と認定。複数の著作に長期間にわたって同様の行為が見られたことから、「単なる注意義務違反ではなく、故意であった」と断じた。特定不正行為以外の不正行為は認定しなかった。

 深井氏をめぐっては、2018年、日本基督教学会誌『日本の神学』に小柳敦史氏(北海学園大学准教授)が公開質問状を掲載し、著作の注や資料の実在性に疑義を示したことで問題が表面化した。東洋英和女学院大学は翌19年、深井氏の著書と論考について、実在しない人物や史料に基づく捏造と盗用を認定し、当時学院長だった深井氏を懲戒解雇した。今回で深井氏に対する研究不正の認定は2度目となる。

 今回認定された7編はいずれも、前回の不正認定以前に執筆、発表されたもの。金城学院大学は「学術研究に対する社会の信頼を損なうもの」として謝罪し、研究計画書と研究報告書の提出義務化など、研究活動を確認する体制を整備するとした。3大学は今後も研究倫理教育を継続し、「研究不正を許さないという風土の醸成に努める」としている。

問題提起から7年 小柳敦史氏に聞く〝中途半端な幕引き〟 深井智朗氏研究不正問題 2025年3月11日

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