キリスト教の重心、南へ 人口増が支えるアフリカの存在感 米調査で鮮明に 2026年10月9日

 世界のキリスト教徒は増え続ける一方、その分布は大きく変わりつつある。欧州や北米を中心に見てきたキリスト教の姿は、今後、アフリカやアジアを抜きに語れなくなりそうだ。

 米ゴードン・コンウェル神学校のグローバル・キリスト教研究センターが今年1月に公表した「世界キリスト教の現状2026(原題=Status of Global Christianity 2026)」は、世界のキリスト教徒を2026年時点で約26億7400万人と推計する。世界人口の約32%に相当し、2020年からの年平均増加率は0.95%。2075年には約36億7600万人、世界人口の約36%になると予測した。調査表は1900年、1970年、2000年、2020年のデータと、2026年、2075年の推計を並べている。

 地域別にみると、増加の中心はアフリカとアジアだ。2026年のキリスト教徒数は、アフリカが約7億8千万人、アジアが約4億1600万人。2020年からの年平均増加率はそれぞれ2.6%、1.27%と推計された。一方、欧州は約5億5300万人で年0.41%減、北米も約2億7500万人で年0.16%減となる見通しだ。

 この地域移動は、別の調査からも確認できる。「ピュー・リサーチ・センター」が2025年に発表した、世界201の国・地域、2700件以上の国勢調査や調査資料を分析した報告によると、2020年にはサハラ以南アフリカが世界のキリスト教徒の30.7%を占め、欧州の22.3%を上回った。2010年からの10年間で、同地域のキリスト教徒は31%増え、約6億9700万人に達したという。

 ただし、増加の意味を考えるには「人数」と「人口に占める割合」を分けて見る必要がある。調査によれば、サハラ以南アフリカではキリスト教徒の数が増えたものの、地域人口に占める割合の伸びは10年間で1ポイント未満だった。世界全体でも、キリスト教徒の数は2010年から2020年に約1億2200万人増えた一方、世界人口に占める割合は約31%から28.8%へ下がった。人口増加の速い地域で信徒数が増えることと、キリスト教が世界人口に占める比重を高めることは、同じではない。

 背景にあるのは、人口の年齢構成や出生率、宗教からの離脱などだ。米国の非営利機関「ピュー・リサーチ・センター」は、サハラ以南アフリカの人口は若く、出生率も高いと指摘する。国連の「世界人口推計2024」も、同地域の人口が2024年から2054年までに79%増え、約22億人に達すると予測している。キリスト教徒の増加には、信仰への新たな改宗だけでなく、地域全体の人口構成の変化が大きく関わっている。

 今回の調査では、世界のキリスト教徒に占めるグローバル・サウスの割合は2026年に69%、2075年には82%と予測された。ここでいうグローバル・サウスは、地理的な南半球と同じではなく、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、オセアニアを含む地域区分だ。研究論文の要旨も、キリスト教の重心がグローバル・サウスへ移る傾向が今後も続くとみている。

 教派・潮流別では、福音派が年1.34%、ペンテコステ派・カリスマ派が年1.16%の増加と推計された。カトリックは0.56%、正教会は0.28%。なお、これらは調査上も分類が重なり合っており、単純に合算できない。別の研究では、福音派を教派所属だけでなく「多数派世界のプロテスタント」まで含めて定義すると、約9億3000万人となり、その87.2%がグローバル・サウスに暮らすとの推計も示されている。何を「福音派」と数えるかによって数字が変わる点にも留意が必要だ。

 今回の推計は、「ピュー・リサーチ・センター」の数字とそのまま比較できるわけではない。グローバル・キリスト教研究センターの資料は「信仰を公言する人」に加えて、教会に所属しないキリスト教徒や「秘密の信徒」も含む広い定義を採用する。一方、「ピュー・リサーチ・センター」は国勢調査や調査での宗教的自己認識を基にする。そのため、2020年のキリスト教徒数も前者は約25億2600万人、後者は約23億人と異なる。各調査の数字は、定義や調査方法を確認したうえで読む必要がある。

 また、世界の宗教人口でキリスト教だけが増えているわけではない。グローバル・キリスト教研究センターの推計では、イスラム教徒は2020年から年1.57%増と、キリスト教徒の伸びを上回る。「ピュー・リサーチ・センター」の2010~2020年の分析でも、イスラム教徒は約3億4700万人増え、世界人口に占める割合が25.6%に上昇した。キリスト教の世界的な拡大は、イスラム教や無宗教者の動向、地域ごとの人口変化と合わせて捉える必要がある。

 数字が描くのは、信仰の深さや教会活動の活発さそのものではない。それでも、かつて欧州に集中していたキリスト教徒の分布が変わり、サハラ以南アフリカが最大の地域となったことは、世界の教会や宣教、神学の担い手が多様化していることを示している。

(福島慎太郎)

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