日本聖公会正義と平和委 2人の死刑執行に抗議 2017年8月1日
7月13日に西川正勝さんと住田紘一さんの死刑が執行されたことに対し、日本聖公会「正義と平和委員会」(上原榮正委員長)は同日、安倍晋三首相と金田勝利法務相に対して抗議声明を発表した。
(以下声明文)
死刑執行に憤りをもって強く抗議します
2017年7月13日、大阪拘置所で西川正勝さん、広島拘置所で住田紘一さんの命が死刑の執行によって奪われました。西川さんは再審請求中で、極めて異例の執行です。
第2次安倍内閣発足以降で死刑が執行されたのは、去年11月以来11回目で、合わせて19人にのぼります。極めて早い頻度で執行を重ねる現政権が、いかにいのちを軽視しているかの現れです。
世界で事実上死刑を廃止している国は145か国に上り、OECDに加盟している国の中で死刑制度を存置しているのは日本と米国だけです。その米国でも死刑の判決・執行数は激減し、死刑制度を廃止する州が毎年増加しています。我が国では、死刑制度に関する議論が極めて少なく、日本政府の死刑制度に対する姿勢は、明らかに廃止へと向かう国際社会の潮流に逆行していると言え ます。また、政府は死刑制度存置の理由に犯罪抑止力をあげますが、死刑制度が抑止力にはならないことは統計上明白です。むしろ、死刑制度があることによって犯罪が凶悪化することもあると言われています。
わたしたちは現在、死刑の判決後キリスト教の信仰を受け入れ、受洗した死刑囚と共に信仰生活を送っています。また、これまでに、自分の犯した罪に真摯に向き合い「生きて罪を償いたい」と贖罪の日々を送っていた同信の友を死刑の執行によって奪われました。わたしたちの死刑制度廃止を求める願いには切なるものがあります。
わたしたちは、神より与えられたすべての人の生命と尊厳、そして人権を守るキリスト者の信仰に立って、一日も早い死刑制度廃止を強く求めます。
金田法務大臣には、是非とも多くの死刑制度廃止を訴えるわたしたち国民の声に耳を傾けると共に、国連総会決議による死刑制度廃止勧告を受け入れ、内閣及び国会の場において、死刑制度廃止に向け努力されるように、また、その法改正がなされるまで、これ以上死刑を執行しないように強く要請いたします。
日本聖公会正義と平和委員会
委員長 主教 ダビデ 上原榮正
〒162-0805 東京都新宿区矢来町65