WCRPが上智大などとオンラインシンポ 「分断から和解と包摂へ」 2020年10月11日

 世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会は9月27日、上智大学、アジア宗教者平和会議(ACRP)、ピースボート、日本カトリック正義と平和協議会、南山大学、愛知大学、中部ESD拠点との共催によるオンラインシンポジウム「現代世界における和解の諸問題――平和で包摂的なグローバル社会に向けて」をオンラインで開催した(「現代世界における和解の諸問題」実行委員会主催)。共催団体の信徒ら約200人が視聴した。

 昨11月に来日した教皇フランシスコが発した核兵器廃絶や移民・難民の保護、地球環境の保全などの課題に対するメッセージを受け、「すべてのいのちを守るため」の実践的な取り組みや和解の糸口を見出そうとするもの。

 島薗進氏(上智大学大学院教授)の開会あいさつに続き、バチカン国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿のメッセージが紹介され、長崎から髙見三明氏(カトリック長崎大司教区大司教)、中国から葛兆光氏(復旦大学特別招聘教授)がそれぞれ基調発題を行った。

 髙見氏は、「教皇フランシスコ訪日の意義――長崎からの核廃絶の願い」と題し、教皇が長崎市の爆心地公園で発した「核兵器についてのメッセージ」の内容と意義について解説した上で、すべての人が互いに信頼を寄せて一致団結する必要性を訴えた。葛氏は「現代世界に向き合う日中仏教――1893年シカゴ世界宗教大会から」と題し、19世紀の日中両国の宗教事情と諸宗教に対する姿勢の違いを比較。中国が儒教以外の宗教を認めず、他宗教との交流を拒み続けたことで「世界に溶け込めなかった」とし、諸宗教が和解と包摂を実現するには、「真に平等な態度と多元的な意識が必要」と指摘した。

 その後、「和解と包摂に向けた社会をめざして」をテーマに行われたパネルトークでは、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲氏(ピースボート共同代表)、上智大学総合グローバル学部教授の稲葉奈々子氏、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏が出演。核兵器禁止条約をめぐる現状、難民認定されず在留資格のないまま困窮する人々の状況や支援の実態、ヘイトスピーチに象徴される排外主義、向き合うべき自らの加害性などについて共有された。

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