【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 地方宣教は町おこし 安達世羽 2024年3月11日

 「ぜひ新しいこの事業に教会さんもご賛同いただけないでしょうか?」

 昨年の夏、町の新しい取り組みとして行われる交通弱者対策事業の説明に担当者が来られ、このようにお声がけいただいた。高齢者ドライバーによる問題が昨今よく取り上げられているが、地方では車なしに生活はできない。「免許返納=生活の足を失う」ことである。そこで、新しい取り組みとしてAIを駆使したオンデマンドバスを導入しようと町が動いたのだ。この新しい事業に、教会も賛同してくれないかと提案いただいたのだ。もちろん二つ返事で答え、タウンニュースの賛同者一覧に教会の名が連なり、新事業のスタート式典にもお招きいただいた。

 松田教会でも高齢化は進んでおり、教会にどうやってくるかは課題だった。「将来的に送迎が課題になってきますね」という声も具体的に出ていた。そんなタイミングで先の事業は、教会のニーズに応えるものでもあった。

 また、今年の1月には、町の福祉課と自治会が主催する「認知症サポーター養成講座」が教会を会場にして行われた。「認知症」というテーマも教会はもちろん、地域と共有できるニーズの一つである。教会メンバーも数名その講座に参加され、「認知症」をテーマに地域の方と交流できたのは個人的にも、教会としても大きな収穫であったと思う。

 これらの出来事を通して改めて実感させられたことがある。それは「教会内のニーズは、自ずと町全体のニーズでもある」ということだ。当たり前かもしれない。しかし、そうした視点で見るならば、「地方宣教はすなわち町おこし」でもあると言うことができるのではないだろうか。「教会が元気になれば町も元気になる」。少しうがった見方かもしれないが、でもその要素は十分にあると思う。

 また、ニーズが同じということは、そのニーズについて地域の方たちとの接点があり、一緒に取り組むことができるということでもある。高齢化しつつある今、教会内だけで教会内のニーズを解決することはできないし、それは町のニーズにおいても然りであると思う。教会の中だけで問題を抱えていても仕方がない。むしろ、地域の方々も同じなのであるから、一緒に地域の方も巻き込んで取り組んでいけばいい。

 先日、ある地域の女性に「いろんなニーズがこの町にはあると思う。そのことについて、ざっくばらんに教会内でいろんなアイデアを出し合っているんです」と伝えると、「何だか明るくなりますね。ぜひできることがあれば協力させてください」と言われた。教会の内と外という境界線なんて越えて、いろんな人を巻き込んでいく。イエス様の「神の国」もそうだったのではないだろうか。地方宣教=町おこし! 教会の中だけで考えていても仕方がない!

あだち・よはね 1993年、神奈川生まれ。名前から「隠れられないキリシタン」として中高生時代を過ごす。大学卒業後、2年間の自殺予防の働きを経て、聖契神学校へ入学。2023年、同校を卒業し、日本聖契キリスト教団松田聖契キリスト教会に赴任。趣味は横浜DeNAベイスターズの応援。

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