震災支援の経験を次世代へ カトリック仙台教区とカリタスジャパンがシンポ 2026年5月15日

東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から15年を迎えた3月11日、カトリック仙台教区とカリタスジャパンの共催によるシンポジウム「この経験から見えてくるもの」が、仙台教区カテドラル(カトリック元寺小路教会大聖堂、仙台市青葉区)で開催された。
同シンポジウムは、震災発生時に全国から教区へ寄せられた思いと支援に対する感謝を表すとともに、これまでのサポート活動を振り返り、震災を知らない若い世代へ経験を伝えることを目的として企画されたもの。この15年で得た教訓を教区として今後どのように活かしていくべきかを模索する場ともなった。
カトリック教会は発災直後から「カトリック仙台教区サポートセンター」を立ち上げ、全国規模での支援を展開。沿岸部を中心に宮古から塩釜、原町まで各被災地に「カリタスベース」を開設し、地域に密着した活動を続けてきた。また、これらの現場で培われた経験は「CJ-ERST(カリタスジャパン緊急対応支援チーム)」の創設へと結実し、近年の秋田での水害や能登半島地震などにおいても、その知見が迅速なサポートとして生かされている。
シンポジウムでは、エドガル・ガクタン仙台教区司教(元カリタス大船渡ベース長)によるあいさつと趣旨説明に続き、被災地支援の最前線に関わってきた3氏が登壇した。
元寺小路教会信徒で、元仙台教区サポートセンタースタッフの園部英俊氏(チーム・カリタス仙塩メンバー)は、石巻ベースでの活動について報告した。2017年より仙台・塩釜地区の有志が月に2回石巻を訪問し、憩いの場づくりを行ってきた。時が経つにつれ、利用する被災者からは「ボランティアさん」ではなく、親しいご近所さんのように迎えられるようになったという。「支援する側・される側ではなく、名前で呼び合う友人の関係になった」と語り、人々が笑顔で繋がるコミュニティを維持していく意義を強調した。
元カリタス大船渡ベース事務局長で、現在は大阪高松教区職員およびCJ-ERSTメンバーの深堀崇氏は、地域との関係性の重要性を指摘した。大船渡ベースは、地元の信徒による土地提供や、カトリック系幼稚園が長年築いてきた信頼関係があったからこそ、スムーズに受け入れられたと振り返った。「災害が起きたから地域と繋がるのではなく、普段からの繋がりがあるからこそ有事に教会が役割を果たせる」と述べ、震災は過去の出来事ではなく、現在の教会のあり方を問うていると訴えた。
当時、仙台教区サポートセンター事務局長を務めた成井大介氏(新潟教区司教、カリタスジャパン責任司教)は、カトリック教会ならではの災害対応について語った。一般的な支援団体が「自立」をゴールとし、目的を達成すれば撤退していくのに対し、カトリック教会の支援に終わりはない。「教会は世界中どこにでもあり、常に被災当事者になり得る。元々そこに生きている存在だからこそ、支援の壁を越え『共に生きる側』になることができる」と語った。一方で、教会の高齢化や海外ルーツの信徒の増加といった変化にも触れ、「昔のままのやり方では立ち行かなくなる。今のカトリック教会にふさわしい震災対応のあり方を真剣に探していかなければならない」と警鐘を鳴らした。
最後の意見交換では、登壇者の共通認識として「支援する側・される側という関係性からの解放」が挙げられた。東日本大震災から15年間の経験は、これからの教会が社会の中でどのように「人々と共に生きるか」という本質的な問いを投げかけ続けている。
シンポジウム終了後には同大聖堂にて犠牲者追悼・復興祈願ミサが執り行われた。














