可視化されにくい性的搾取の現状に迫る NPO法人レスキュー・ハブ 坂本新氏が講演 2026年5月28日

 新宿・歌舞伎町を拠点に、性的搾取や路上売春の危機にある女性たちへの支援活動を行うNPO法人「レスキュー・ハブ」の支援メンバーが主催するクラウドファンディング説明会が5月20日、都内のブックカフェで開催され、代表の坂本新氏が「可視化されにくい性的搾取の現状」と題して講演した。

 坂本氏は22歳で大学を卒業後、警備保障会社に20年間勤務し、海外で安全対策業務などに従事。その後、国際NGOや人身取引被害者支援団体での活動を経て、2020年に「レスキュー・ハブ」を設立した。講演では、「本当に困っている人ほど、自分から相談できない」と述べ、従来型の「相談を待つ支援」では限界があると指摘。新宿・歌舞伎町で週3回行うアウトリーチ(見守り・声かけ)活動の重要性を強調した。

 同団体は、路上で声をかけながら相談先カードや日用品を配布し、夜間相談室「ハブステ」や一時保護用シェルターへつなげる支援を展開している。夜間相談室は歌舞伎町の路上売春エリア近くに設けられ、携帯電話の充電や食事提供などを通じて関係性を築き、必要に応じて行政や医療機関、弁護士などへ同行支援を行う。

 坂本氏は、歌舞伎町の路上売春を巡る状況がコロナ禍を境に大きく変化したと説明した。かつては生活困窮を背景とする30〜60代の女性が中心だったが、近年は10代から20代前半の若年層が急増。背景には、ホストクラブの売掛金問題や、虐待・ネグレクトによる家庭環境の悪化、精神疾患や軽度知的障害など、複数の要因が複雑に絡み合っているという。

 講演では具体的な支援事例も紹介された。虐待を受けて育ち、ネットカフェ生活を送りながら売春を続けていた19歳女性を、妊娠36週で緊急保護して出産につなげたケースや、DV被害を受け京都から逃れてきた女性の保護、人身取引被害に遭ったタイ人女性の救済事例などが報告された。

 また、当事者の多くが「自分は相談に行く資格がない」「自業自得だと思われる」という強い自己責任意識を抱えていると坂本氏。「窓口はあっても、そこにつながれない人がいる」と語った。特に虐待や施設育ちなどを背景に、「誰かに肯定された経験が乏しい」若者がホストクラブなどに居場所を求め、結果として搾取構造から抜け出せなくなる現実を説明した。

 「レスキュー・ハブ」では、「否定しない」「理由を問わない」「情報提供だけで終わらせない」といった五つの支援原則を掲げ、本人の意思を尊重しながら伴走型支援を続けている。

 一方、活動継続のための財政基盤は厳しい。夜間相談室やシェルターなど4拠点の維持費、人件費、当事者支援費などを含め、年間約2400〜2500万円が必要だという。東京都の補助金はあるものの、都外支援や緊急対応費には使用できず、代表個人による立て替えも続いている。現在はクラウドファンディングを実施するとともに、寄付控除が可能となる「認定NPO法人」取得を目指している。

 講演の模様はYouTubeチャンネル「NPO法人レスキュー・ハブを支援する会」で公開されている。

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