英国国教会総会が被造物ケアの新文書を承認 環境危機への応答を「弟子道と宣教の中核」に 2026年7月15日

 英国国教会の立法・意思決定機関である総会は7月12日、主教院がまとめた新たな教育文書『すべての被造物への希望――環境危機への神学的応答』を承認し、公表した。気候変動や生物多様性の喪失を科学や政治だけの問題ではなく、信仰と宣教にかかわる課題として捉え、被造物を守ることはキリスト者にとって「付随的な関心」ではなく、弟子道と宣教の中核だと位置付けている。

 文書は英国国教会の信仰職制委員会が作成した。「見る」「省察する」「応答する」の3部構成で、まず世界が直面する環境危機の実態を見据え、続いて聖書とキリスト教の伝統に基づく神学的考察を展開。神は被造世界を見捨てておらず、キリストにおける和解と全被造物の刷新を約束しているとの希望から、個人と教会が地域、国家、世界の各レベルで取るべき行動を考えるよう促している。

 カンタベリー、ヨーク両大主教は序文で、同文書を現代における忠実な生き方の手引きであり、キリスト教の宣教と、地球を責任をもって管理する方法を考えるための英国国教会からの貢献だと評価した。作成に携わったアンダーソン・ジェレマイア・エドモントン主教は、環境危機は単なる科学的、政治的課題ではなく、キリスト者の弟子道を問う問題だと指摘した。

 総会で文書を紹介した信仰職制委員長のロバート・イネス欧州教区主教は、「読まれるだけでなく、学ばれ、話し合われ、教会共同体の姿勢を形づくり、行動の変化につながる」ことを意図した文書だと説明。環境問題には実践的対応だけでなく霊的な応答が必要だと訴えた。

 英国国教会環境作業部会長のグラハム・アッシャー・ノリッジ主教は、深刻な環境問題の根底にあるのは「利己心、無関心、強欲」だとし、その克服には霊的、文化的な変革が必要だと強調した。農家出身の若い総会議員も、冬の多雨や夏の高温、干ばつによる飼料不足を家族が経験したと証言し、「形だけの対応ではなく、実際の行動が必要だ」と述べた。

 討議にはイングランド教会協議会のマイク・ロイヤル総幹事や宗教間対話の招待者も参加。イスラム教が説く管理責任や地球への配慮とも共鳴する内容として、科学、信仰、諸宗教の視点を結び付けた文書を歓迎した。

 総会は同日、毎年9月第1日曜を「キリストにある被造物の祝祭」とする典礼も最終承認した。神による創造と世界の贖いに感謝し、自然界を守る人間の責任を省察するとともに、被造世界の回復を祈る日とする。東方正教会の伝統などを背景に、世界の諸教会が進めてきたエキュメニカルな取り組みを受けたもので、2026年9月から祝われる。

 英国国教会は、教会施設や学校、聖職者住宅などから排出される二酸化炭素を2030年までに実質ゼロとする目標を掲げている。新文書を教区や各教会での学び、礼拝、生活、地域社会での実践に結び付け、環境危機への対応を教会の信仰告白と宣教の一部として定着させる考え。

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