英Aレベル「宗教学」受験者2.7%減 専門教員不足にも懸念 2026年8月14日

イングランドとウェールズで、大学進学資格「Aレベル」の宗教学(Religious Studies=RS)を受験した生徒が2026年、前年から2.7%減の1万4594人となった。イングランドでは3.0%減の1万3832人だった一方、ウェールズでは3.4%増の762人となった。宗教教育関係者は、若者の関心低下だけでなく、専門教員の不足によって希望しても履修できない生徒がいることを問題視している。英「チャーチ・タイムズ」などが8月13日付で報じた。
Aレベルは主に16~18歳が大学進学などに向けて受験する資格試験。RSでは特定の信仰を身に付けることを目的とするのではなく、宗教思想に加え、宗教哲学や倫理学などを学ぶ。主要試験機関の一つAQAでは「宗教哲学と倫理」「宗教の研究」などから構成され、宗教的・非宗教的な立場を批判的に検討する力が求められる。
AレベルのRS受験者は、2015年には2万1577人に達していたが、その後は減少傾向にある。2024年は1万5201人、25年は1万5005人で、今年はさらに411人減った。ピーク時の2015年と比べると、受験者は約3分の1減少したことになる。
イングランド・ウェールズ宗教教育評議会(REC)のサラ・レーン・コート会長は、今回の減少について、学校における宗教教育(Religious Education=RE)の専門教員不足という「より大きく、深刻化する問題」の表れだと指摘した。全国宗教教育教師協会(NATRE)によると、中等学校でREを教えている教員の約半数は、勤務時間の大部分を別の教科の指導に充てている。
専門教員の養成も長年の課題となっている。NATREなどでつくる宗教教育政策ユニットによれば、2025~26年度のRE教員養成への採用は、昨年9月時点で政府目標780人に対し418人と53.6%にとどまった。政府は教員確保のため、24~25年度に1万ポンドの養成奨学金を復活させ、応募は40%増加したものの、26~27年度から再び廃止する方針。宗教教育関係者やカトリック司教団から撤回を求める声が上がっている。
学校での宗教教育そのものも転換点を迎えている。イングランドでは1988年の教育改革法以降、REは学校で教えることが義務付けられてきた一方、英語や数学などと異なり、国が共通の内容を定める「ナショナル・カリキュラム」には含まれず、地方自治体などが策定するシラバスを基礎としてきた。英国政府が委嘱した独立の「カリキュラム・評価制度レビュー」は昨年11月、質の高い宗教教育へのアクセスを保障するため、REを初めてナショナル・カリキュラムに組み込むよう勧告。今年9月には、その内容をめぐる公的協議が予定されている。
背景には英国社会そのものの宗教構成の変化もある。2021年国勢調査では、イングランドとウェールズで宗教的所属を「キリスト教」と回答した人は46.2%となり、国勢調査で初めて人口の半数を割った。2011年の59.3%から13.1ポイント減った一方、「無宗教」は25.2%から37.2%へ増加した。
しかし、こうした世俗化を理由に宗教教育の必要性が低下したとは限らない。英国の教育行政を監査する教育水準局は、REについて、宗教的・非宗教的な伝統や価値観を学び、世界を形作ってきた思想や人々の生き方を理解する教科と位置付けている。RECなども、多宗教化と無宗教化が同時に進み、宗教を背景とする国際紛争や社会的対立が身近になる時代だからこそ、宗教や世界観を学術的に理解する「宗教リテラシー」が必要だと訴える。














