独州議選、キリスト者の3割超がAfDに投票 東部2州で第1党 教会指導部との隔たり浮き彫り 2026年9月25日

ドイツ東部で9月に相次いだ州議会選で、右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)がザクセン=アンハルト、メクレンブルク=フォアポンメルンの2州で相次いで第1党となった。両州では、カトリック、プロテスタント両教会の指導部が選挙前からAfDの政策や主張への批判を繰り返してきたが、選挙後の分析では、キリスト者有権者の約3割が同党に投票したことが判明。教会の公式見解と信徒個人の投票行動との隔たりが改めて浮かび上がった。
マンハイムの世論調査機関「フォルシュングスグルッペ・ヴァーレン」が投票所で9300人以上を対象に行った調査から、宗教別の投票行動が明らかになった。AfDに投票した割合はプロテスタントで33%、カトリックで32%。無宗教者では47%だった。キリスト教民主同盟(CDU)は全体では17.2%だったのに対し、プロテスタント、カトリックとも26%を得ており、教会所属者ではAfDへの支持が相対的に低く、CDUへの支持が高かった。
ただ、2025年の連邦議会選ではAfDに投票した割合がプロテスタント20%、カトリック18%だったことを考えると、東部州で3割を超えた数字は目を引く。ただし、全国を対象にした連邦議会選と、東部の特定州を対象にした今回の調査は母集団が異なるため、単純な時系列比較はできない。2025年の連邦議会選でも無宗教者のAfD支持は24%で、両キリスト教会所属者より高かった。
続く20日のメクレンブルク=フォアポンメルン州議選でもAfDが38.2%を獲得し、第1党となった。SPD(社会民主党)は35.5%で2位。CDUは4.9%に落ち込み、戦後初めて州議会への進出に必要な5%を下回った。左派党が6.5%、緑の党が5.7%で議席を確保した。
同州でもフォルシュングスグルッペ・ヴァーレンが約1万7700人を出口調査し、このうち約8900人に宗教所属を尋ねた。その結果、キリスト者全体でAfDに投票した割合は31%で、全体の38.2%を下回った。一方、SPDはプロテスタントの40%、カトリックの33%を獲得。CDUも全体では4.9%だったのに対し、カトリックでは14%、プロテスタントでは10%を得た。キリスト者だけの票で見れば、AfDではなくSPDが第1党となる計算だ。
首都ベルリンでも同日、AfDは2023年の9.1%から16.3%へ伸ばして第3党となった。ただし、第1党は25.7%を得た左派党で、CDU18.8%、緑の党14.3%、SPD12.1%と続いた。9月の3選挙では地域ごとに結果は大きく異なるものの、AfDがいずれでも前回から得票を増やした。
選挙結果は政権形成にも影響している。ザクセン=アンハルトでは、AfDが第1党ながら単独では政権を樹立できない状態が続く。SPDはCDU、緑の党、左派党、BSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)に、超党派の州首相を軸とする協議を呼び掛けたが、CDUは参加を拒否して野党となる方針を維持している。一方、AfDとBSWは政策面で協議を始めているが、BSWは連立参加とAfD候補の州首相選出を否定している。
メクレンブルク=フォアポンメルンでは、AfD以外の議会勢力がSPD、左派党、緑の党だけとなり、SPDのマヌエラ・シュヴェージヒ州首相は3党による政権協議を進める意向を示している。成立すればAfDは州議会で唯一の野党会派となる。AfDは3分の1を超える議席を持つため、3分の2以上の賛成を必要とする一部の決定では影響力を持つことになる。
こうした中、元連邦議会議長でSPDのウォルフガング・ティールゼ氏は、ザクセン=アンハルトとメクレンブルク=フォアポンメルンでキリスト者のおよそ3人に1人がAfDに投票したことについて、教会指導部が明確な姿勢を示してきたにもかかわらず、多くの信徒が異なる選択をしたことへの失望を表明。「キリスト者であるからといって政治的に賢いわけではない」と述べ、教会には引き続き少数者や市民社会の活動を支える役割があるとの考えを示した。
一方、北ドイツ福音ルーテル教会のティルマン・イェレミアス監督は、AfD支持者を一括して捉えることに慎重な姿勢を示す。メクレンブルク=フォアポンメルン州議選後、AfDに投票した人すべてが極右思想を持っているわけではなく、連邦政治に自分たちの不安や不満が理解されていないと感じている人もいると指摘した。教会もこうした不満に耳を傾ける必要があり、キャンペーンだけでは十分ではないとして、教会堂や地域センターを人々が出会い、話し合える場として開く必要性を訴えた。
教会とAfDの関係は地域によっても異なる。ザクセン=アンハルト州のAfDは選挙綱領で既成教会を強く批判し、国家による教会税徴収や国家給付の見直し、教会アジールへの規制などを掲げた。一方、メクレンブルク=フォアポンメルン州では、教会への直接的な批判を避け、家族や郷土、村落の教会建築の保存などを前面に出した。宗教社会学者ゲルト・ピッケル氏は、同州のAfDが教会との正面衝突を避け、より幅広い有権者に受け入れられることを意識した選挙戦略との見方を示している。
ドイツ司教協議会は2024年、「民族主義的ナショナリズムとキリスト教は両立しない」との声明を採択し、プロテスタントの各州教会も人間の尊厳、移民・難民や少数者の保護などを理由にAfDへの批判を続けてきた。メクレンブルク=フォアポンメルン州の選挙前にも、ポメルン福音主義教会地区の教会会議は、民族を基準に人間の価値を区分する考え方は聖書的人間観と相いれないとの声明を発表していた。















