【訃報】 ドリー・パートンさん 80歳 「イエスの腕の中に」生涯支えた信仰と慈善 2026年8月26日

 「ジョリーン」「オールウェイズ・ラヴ・ユー」などで知られ、半世紀以上にわたり米国のカントリー音楽を代表してきた歌手、ソングライターのドリー・パートンさんが8月25日、米テネシー州ナッシュビルで死去した。80歳だった。家族が同日発表した。広報担当者によると、パートンさんはがんとの「短い闘病」の末、バンダービルト・イングラムがんセンターで家族に見守られながら亡くなった。がんの種類は公表されていない。

 英「プレミア・クリスチャン・ニュース」は、「『彼女はイエスの腕の中にいる』 信仰と象徴的な経歴をもち、80歳で死去したドリー・パートンを追悼」と題して報道。死去を伝えた甥で長年警護責任者を務めたブライアン・シーバー氏が、「悲しみは私たちの側にあるのであって、ドリーの側にはない。ドリーは光の中を生き、今はイエスの腕の中にいる」と語ったことを紹介した。夫カール・ディーン氏は2025年3月に死去しており、シーバー氏は天国で夫や両親らと再会しているだろうと述べた。

 米「レリジョン・ニュース・サービス」(RNS)も「『私は信仰を持つ人間』――キリスト教はいかにドリー・パートンの音楽と精神を形づくったか」と題する追悼記事を掲載した。パートンさんは1946年、テネシー州スモーキー山地の貧しい家庭に12人きょうだいの1人として生まれた。祖父はペンテコステ派の説教者で、幼いころから家族と教会で歌った。5歳ごろから作曲を始め、13歳でカントリー音楽の殿堂「グランド・オール・オープリー」に出演。1960年代から本格的なレコード活動を始めた。

 代表曲「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は1974年と82年にカントリーチャート1位となり、92年にはホイットニー・ヒューストンが映画『ボディガード』でカバーして世界的なヒットとなった。「ジョリーン」「コート・オブ・メニー・カラーズ」「9時から5時まで」など数多くの楽曲を残し、レコード売り上げは世界で1億枚を超えた。グラミー賞を11回受賞し、カントリー音楽殿堂、ゴスペル音楽協会のゴスペル殿堂、ロックの殿堂にも名を連ねた。

 華やかな衣装とブロンドヘアで知られ、映画やテレビ、テーマパーク「ドリーウッド」の経営にも活動を広げる一方、キリスト教信仰について公に語り続けた。1971年にはゴスペルアルバム『ザ・ゴールデン・ストリーツ・オブ・グローリー』を発表。2019年にはクリスチャン歌手ザック・ウィリアムズ氏との「ゼア・ワズ・ジーザス」を発表し、同曲はグラミー賞の最優秀コンテンポラリー・クリスチャン音楽パフォーマンス/楽曲賞を受賞した。クリスチャン・デュオ、フォー・キング&カントリーとも共演している。

 パートンさんは2017年のインタビューで、「信仰はいつも私にとってとても大切だった。私は毎日祈る。あらゆることについて祈る」と語っていた。夫を亡くした後の2025年にはAP通信に、「私は信仰を持つ人間。本当に、いつかまた彼に会えると信じている」と話している。

 その信仰は慈善活動にも結び付いた。読み書きのできなかった父への敬意から1995年に始めた「イマジネーション・ライブラリー」は、乳幼児に毎月無料で本を届ける事業へと成長し、世界で配布した本は3億冊を超えた。パートンさん自身、聖書の「父母を敬え」という教えについて、両親の名誉となるよう生きることだと受け止め、この活動の背景にある考えとして語っていた。

 2020年には新型コロナウイルス研究のためバンダービルト大学医療センターに100万ドルを寄付。その資金の一部は、モデルナ製ワクチンにつながる初期研究を支えた。このほか小児医療、災害被災者支援、奨学金などにも多額の寄付を続けた。

 一方でパートンさんの人気は、米社会の宗教や世代、政治的立場の違いを超えていた。RNSは、信仰を公言しながらも、その支持が「宗教、人種、政党」を横断していたと指摘する。シカゴの教会では2022年、楽曲を題材に「ドリー・パートンによる福音」と題した5回の説教シリーズまで行われた。パートンさん自身は有名人への過度な崇拝には距離を置き、21年、「聖書には偶像礼拝について書かれている。私は崇拝されたくない」と語っていた。

 死去を受け、共演したウィリアムズ氏は「あなたの歌、信仰、人々を愛する姿は、あなたが思っている以上に私に影響を与えた」と追悼。「成功しても心を変える必要はなく、神から与えられたものを誰かの人生を少し良くするために用いることができると示してくれた」と振り返った。カントリー歌手リーバ・マッキンタイア氏も「主よ、ドリーを与えてくださったことを感謝します」と投稿した。

 カントリー音楽殿堂博物館のカイル・ヤング最高経営責任者(CEO)は、「ドリー・パートンの遺産は有名人であることではなく、人間性そのものだ」と評した。貧困の中から世界的スターとなりながら、識字教育や医療、災害支援へ富を還元した生涯について、「自らの成功を私たちすべてのために分かち合い、歌うすべての音符の中で魂を分かち合った」と称えた。

Kristopher Harris - https://www.flickr.com/photos/thekrisharris/27439232701/in/album-72157666811492574/, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88752054による

海外一覧ページへ

海外の最新記事一覧

  • 聖コレクション リアル神ゲーあります。「聖書で、遊ぼう。」聖書コレクション
  • 求人/募集/招聘