独州議選でAfD圧勝 教会「社会に深い亀裂」 財政・教会アジールにも影響か 2026年9月7日

 ドイツ東部ザクセン=アンハルト州で9月6日に行われた州議会選で、右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が43・8%を獲得し、第1党となった。前回2021年の20・8%から支持を倍増させる歴史的な勝利となった。一方、これまで州政権を率いてきたキリスト教民主同盟(CDU)は17・2%に落ち込んだ。選挙前、カトリック、プロテスタント両教会はAfDの排外的な政策や教会への攻撃を相次いで批判しており、結果を受けて教会関係者から社会の分断を懸念する声が上がっている。

 AfDは単独過半数には届かなかった。他の主要政党はいずれもAfDとの連立を拒否しており、今後の政権形成は不透明な状況が続く。ザクセン=アンハルト州のAfDは州憲法擁護庁から「確実な右翼過激派」と認定されている。

 選挙結果を受け、中部ドイツ福音主義教会(EKM)のフリードリヒ・クラマー監督は独公共放送ARDに、「社会に深い亀裂が走っていることを非常にはっきり示している」と述べた。政権を担う側には、異なる立場の人々も包摂する政治が求められるとし、社会が再びまとまる道を探る必要があると指摘。ただ、「それは難しいだろう」と認めた。

 カトリックのマクデブルク教区ゲルハルト・ファイゲ司教も投票当日、同教区の巡礼行事で、偏見や排除、自己中心主義の広がりに警鐘を鳴らし、「ナショナリズムと外国人嫌悪の悪しき精神に抵抗する」よう呼び掛けた。州内の一部教会では、選挙当日やその後、祈りや黙想のために礼拝堂を開放する動きも広がった。

 AfDが「キリスト教文化」をドイツや欧州のアイデンティティーとして強調する一方、既存のカトリック、プロテスタント教会とは対立を深めている。ザクセン=アンハルト州の選挙綱領では、国家による教会税徴収の廃止、教会への国家給付制度の廃止、福音主義アカデミーへの補助金打ち切りなどを要求。その一方で、小規模な自由教会やバプテスト、正教会などを「真正なキリスト教」の担い手として支援する考えも示している。

 また、AfDは教会アジールを全面的に否定し、教会内に保護されている難民・移民を速やかに退去・送還させるほか、関与した教会関係者の刑事責任を問うことや、送還が遅れたことで生じた費用を教会側に負担させる方針を掲げる。こうした政策が実施されれば、教会と州政府との関係だけでなく、地域で行われている移民支援や社会福祉活動にも影響が及ぶ可能性がある。

 財政面でも教会側は警戒を強めている。AfDは既成教会への国家給付を打ち切り、教会税を行政機関が徴収する現在の仕組みも廃止する方針。MDRによると、EKMでは大幅な財政削減が行われた場合、ドイツ国内の他の州教会から一時的な支援を受けることも想定している。地域教会では子ども向け行事や交流活動など、信徒以外も利用する事業への影響を懸念する声があり、ディアコニアも移民背景を持つ職員の流出を危惧している。

 教会側は選挙前からAfDとの距離を明確にしてきた。ファイゲ司教は8月6日、AfDの世界観とカトリック教会には「共通点はない」と述べ、人間の尊厳や性的少数者への姿勢などを理由に挙げた。ドイツ司教協議会も2024年、「民族主義的ナショナリズムとキリスト教は両立しない」とする声明を全会一致で採択。クラマー監督も選挙直前、「外国人を追放しようとする政党は教会の価値観と両立しない」と批判していた。

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