ネパール洪水 復旧長期化 女性・子どもの保護も課題 教会系団体が支援拡大 2026年9月7日

ネパール北部で8月26日に発生した大規模な洪水・土石流で、被災者の避難生活が長期化し、支援の焦点が食料や水などの緊急援助から、女性・子どもの保護、教育再開、越冬、生活再建へと移りつつある。ネパールでは9月7日、犠牲者を悼む国家追悼日を迎えたが、行方不明者の捜索は続いている。
ネパール政府防災当局(NDRRMA)が9月3日時点でまとめた被害は、死者1259人、行方不明者5053人、負傷者5384人。行方不明者には外国人583人が含まれる。38カ所の避難所で約4521人が生活し、橋41カ所、道路約42キロが流失した。ロイターは7日、ネパールと中国・チベット自治区にまたがる被害で死者が少なくとも1380人、行方不明者が5500人を超えたと報じた。捜索は水力発電施設などで続き、発災から10日ほどたって生存者が救出される例も出ている。
こうした中、CWS Japanが理事長を務めるアジア防災・災害対応ネットワーク(ADRRN)は9月4日、ネパールの加盟4団体と情報共有会合を開いた。現地からは、避難所となった学校や軍施設のトイレに照明や鍵がないとの報告が寄せられた。被災地は以前から女性や少女の人身取引が多い地域でもあり、家族と離れた子どもや女性が新たな危険にさらされているという。妊婦の搬送をヘリコプターに頼らざるを得ない地域もある。
多くの学校も再開できていない。人身取引のリスクが高い地域では、子どもが学校に通えないことが教育の中断だけでなく、安全確保の問題にも直結する。救援物資は郡中心部まで届いても、道路や橋が切断された山間の集落には行き渡らないケースがある。ラスワ、ヌワコット両郡では冬も迫り、通常のテントではなく越冬可能な避難設備が求められている。同じ場所への住宅再建が危険な地域もあり、今後は土地の安全性を見極めながら仮設住宅や生活再建へ移行する必要がある。
CWS Japanは、現地団体による調査を踏まえ、安全確保や遠隔地への支援、生活再建を進めるとともに、日本が培ってきた土砂災害への知識や技術を支援に反映させる方針。現地政府や国連機関などとも連携、調整する。
福音派のネットワークでも支援が続く。世界福音同盟(WEA)によると、避難した住民は学校や地域施設に加え、教会にも身を寄せている。ネパール全国キリスト教フェローシップ(NCFN)の青年チームは、地域教会の若者らを動員し、被災者情報の収集や物資の仕分け、配布を支援。行政当局との調整にも携わっている。食料は一定程度確保される一方、調理用ガスやコンロ、調理器具、衣服、履物などが不足し、停電地域では携帯型・太陽光式の照明も必要とされている。
カトリック教会も支援を拡大している。「バチカン・ニュース」によると、カリタス・ネパールを中心に、教皇レオ14世、教皇庁慈善奉仕省、米国カトリック司教協議会系のカトリック・リリーフ・サービス(CRS)などが連携。教皇は緊急の資金援助をカリタス・ネパールに送り、食料や避難場所、生活必需品の提供を後押しした。CRSも専門スタッフを送り、物流や支援調整を支えている。
ワールド・ビジョン・インターナショナル・ネパールは9月6日までに、ラスワ、ヌワコット両郡で子ども約542人を含む1355人に支援を届けた。食料、生活用品、浄水用品、衛生キット、女性・少女向けの衛生・生活用品などを提供している。今後の緊急支援では5千世帯2万5千人、そのうち子ども1万人を対象とし、早期復旧段階では生計回復や水・衛生支援に加え、子どもが安全に学校へ戻れる環境づくりや心理社会的支援にも取り組む。
写真=ワールド・ビジョン・ジャパン















