真実にひざまずく司法を求めて イグナチオ教会で「再審法改正」訴え 2026年3月11日

 「えん罪被害者と私たち市民の声を法務省と国会へ届けよう!再審法改正 大署名運動キックオフ市民集会」が2月20日、東京・四谷のカトリックイグナチオ教会ヨセフホールで開かれ、約190人が参加した。再審制度見直しをめぐる法制審議会(法制審)の答申案に危機感を抱く市民、法律家、冤罪被害当事者らが一堂に会し、実効性ある議員立法による抜本改正を求める全国署名の開始を宣言した。

 聖堂に隣接するホールに集った人々の思いの根底には、「真実に仕える」という信仰的価値が流れている。

 冒頭、日本弁護士連合会の鴨志田祐美弁護士が現状を解説。超党派議連による議員立法案は衆院解散で廃案となった一方、法務省主導の法制審案が内閣提出法案として準備されている。だが同案は、裁判所が命じる証拠開示の範囲を限定し、開示証拠の「目的外使用」に罰則を設け、再審長期化の一因である検察官の不服申し立て禁止も見送った。とりわけ目的外使用の禁止は、密室化しがちな再審請求において世論喚起を妨げる「改悪」だと指摘。自民党を含む超党派の力で議員立法を再提出させるため、世論を広げてほしいと訴えた。元裁判官の村山浩昭弁護士も「今の法律では冤罪救済はできない」と語気を強めた。

 58年に及ぶ闘いの末に再審無罪を得た袴田巖(いわお)さんの姉・ひで子さんは、「巖だけ助かればよいとは思わない」と語り、他の被害者と共に歩む決意を示した。長年支えてきた祈りと市民の連帯が、無罪判決を引き寄せたとの実感をにじませた。

 昨年、福井女子中学生殺人事件で再審無罪が確定した前川彰司さんは、青年期の薬物依存や回復支援施設ダルクとの出会い、そして約30年前にこのイグナチオ教会のミサでパイプオルガンの響きに包まれた「霊的体験」を回想。「らくだが針の穴を通るより難しい」との聖書の一節を引き、「再審の扉は狭い。しかし神ならできる。神は愛だ」と呼びかけた。

 石川一雄さんの妻・早智子さんは、昨年亡くなった夫の無念を胸に第4次再審請求を引き継ぐ。「19年かかった第3次請求で裁判官は10人も代わったのに事実調べは一度もなかった」。司法の不作為を告発しつつ、夫が遺した「次の世も/生まれし我は/この村に/兄弟姉妹と/差別根絶」の短歌を紹介。「いつか笑顔で無罪を報告したい」と涙ながらに語った。その姿は、復活信仰にも通じる「なお生きる希望」を体現していた。

 カトリックの松浦悟郎司教は、検察の体質に言及し、「無罪と分かった時点で起訴を取り下げる検察であってほしい。有罪率が下がっても、国民は『真実にひざまずく検察だ』と信頼する」と述べた。

 続けてジャーナリストや映画監督、講談師らも連帯を表明し、目的外使用禁止が市民の知る権利を侵害し、支援運動を封じる危険を共有した。終盤、呼びかけ人の一人は「冤罪を黙認してきた私たちも加害者だ」と告白し、署名を全国的運動へと広げる決意を促した。

 集会アピールは「司法と行政の過ちを正すのは立法府の責任」と宣言し、会場は大きな拍手に包まれた。

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