英国聖書協会 動画教材で若者に聖書を 「聖書コース」14万人超 2026年7月15日

キリスト教人口の減少が続いてきた英国で、若い世代にも聖書を分かりやすく伝えようと、英国聖書協会(BFBS)が映像教材や新しい注付き聖書の開発に力を入れている。英国・ウェールズでは2021年国勢調査で、宗教を「キリスト教」と答えた人が人口の46.2%となり、初めて半数を下回った。2011年の59.3%から13.1ポイント減少している。
同協会が提供する「聖書コース」は、創世記から黙示録まで、聖書全体を一つの大きな物語として学ぶ全8回のプログラム。映像、ガイドブック、グループでの対話、個人の振り返りを組み合わせ、聖書の主要な人物や出来事、テーマを日常生活と結び付けて理解することを目指す。
2018年の開始以来、英国で14万人以上が参加した。2025年5月には、社会やメディア環境の変化を踏まえ、若い出演者や新しい映像技術を取り入れた改訂版を公開。ウェールズ語、フランス語、中国語(北京語)、ポルトガル語、ウルドゥー語、スペイン語、ブルガリア語にも翻訳されている。
改訂版を制作した神学者アンドリュー・オラートン氏は、聖書に不慣れな人がその全体像をつかみ、自信を持って読めるようにすることが目的だと説明。成熟した信徒だけでなく、信仰を探求する人、受刑者、保護者、大学生ら、幅広い層に利用されてきたという。改訂版には聖書学者による解説や、難解で現代の読者が疑問を抱きやすい箇所を考える内容も加えられた。
受講登録と映像教材の利用は無料で、約200ページのガイドブックも販売されている。同協会のYouTubeチャンネルでは、コースの紹介動画と第1回「聖書入門」、第2回「創世記――物語の始まり」の計3本を無料で公開している。
教材『The Bible Course Guidebook』を日本から購入する場合、BFBSなど海外の販売元に直接注文する必要がある。
なお、BFBSは今年1月、ロンドン現代キリスト教研究所(LICC)と共同で、注付き聖書『Everyday Faith Bible(毎日の信仰聖書)』=写真=を刊行。古代に成立した聖書の言葉を、仕事、家庭、人間関係、地域社会など、21世紀の日常生活と結び付けて読むことを目的としている。
本文には、米国キリスト教会協議会が1989年版を改訂し、2021年に発表した「新改訂標準訳・更新版(NRSVue)」の英国版を採用。聖書文学学会(SBL)に検討を委託し、近年の聖書学の成果や現代英語の用法を反映させた英訳で、新しい翻訳そのものではなく、既存訳の更新版に当たる。
全1584ページの本文には、実生活の事例やキリスト者の証言を含む1千以上の注、問い、解説を収録した。①聖書が書かれた現実の文脈を理解する「頭」、②登場人物の経験や感情と結び付ける「心」、③読んだ内容を具体的な行動に移す「手」という三つの視点から、聖書を日々の生活に適用するよう促す。
同協会は発売後、「聖書が自分にとって何を意味するのかを知りたい人々の間で大きな反響を呼び、初版はほぼ完売した」と発表した。宗教的帰属が弱まる一方、人生の意味や生き方を求めて聖書に関心を寄せる人々に対し、教会の中だけでなく日常の現場で聖書を読むための手掛かりを示す試みとなっている。
同書は日本でも、紀伊國屋書店ウェブストアやアマゾン・ジャパンなどが洋書として通信販売している。
(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)















