国内ホスチア6割担う修道院が閉院へ 山口カルメル会が製造継承 修道女減少も背景 2026年8月10日

 日本のカトリック教会で使用されるホスチアの約6割を製造してきたカルメル修道会聖家族修道院(長野県泰阜村)が約1年後に閉院することになり、製造を引き継ぐ山口市の同会「教会の母マリア修道院」の設備整備に向け、日本カトリック司教協議会が寄付を呼びかけている。ホスチアはミサで聖別され「キリストの体」となる、小麦粉と水で作られた種なしパン。「カトリックジャパンニュース」が8月9日付で報じた。

 日本カトリック司教協議会会長の菊地功枢機卿、白浜満司教(広島教区)、山口の修道院の高園泰子院長は7月16日付で、「ホスチア製造のための新しい機械の購入・設備のためのご協力のお願い」を全国の教会などに発表した。文書では、女子カルメル会修道院の統廃合に加え、製造機械の老朽化、修道女の高齢化、召命の減少などにより、国内での安定したホスチア製造が困難になりつつある現状を説明している。

 泰阜の修道院は2001年、西宮カルメル会修道院(兵庫県)から派遣された修道女によって設立された。西宮で1947年から続いてきたホスチア製造を引き継ぎ、現在は国内約400の小教区、50の修道会の修道院約210カ所のほか、神学校や聖公会、プロテスタント教会などにも供給している。月間の製造数は信徒用が約20万枚、司祭用が約1万1千枚。クリスマス期には信徒用だけで約27万枚に上る。国内生産量の約6割を占めるという。

 しかし、世界的に修道院の閉鎖が相次ぐ中、日本女子カルメル会連合の2025年の顧問会で泰阜修道院の閉鎖が提案された。現在、所属する修道女らはそれぞれの転属先へ移る準備を進めている。製造の引き受け先が見つからない時期もあったが、山口の修道院が、約40年間続けてきたスリッパ製造を縮小してホスチア製造を継承することを決めた。

 山口では、イタリア製の全自動焼成機2台とシートカッター2台を導入する。現在使われている手焼き用の機械は約50年前から使われ、重い鉄板を扱うことが修道女の負担になってきた。加湿や乾燥も気温や湿度に応じて「手の感覚」で調整するなど熟練を要するため、今後の継承を見据えて自動化を進める。作業場の改修を含め、必要な費用は約6千万円。日本女子カルメル会連合が男女の修道会・宣教会に約2千万円を目標に寄付を呼びかけており、残る約4千万円について教区や小教区などに協力を求める。募金期間は2026年8月から27年7月まで。

 修道者の高齢化と召命減少に伴う拠点の閉鎖は、カルメル会に限らない。キリ新は2024年、聖パウロ女子修道会(女子パウロ会)が、園田、神戸、福岡、仙台、名古屋などの修道院や書院を相次いで閉鎖し、同年11月には約60年にわたり活動した広島修道院と幟町の聖パウロ書院も閉じたことを報じた。名古屋支部を閉鎖した際、同会は召命の減少とシスターの高齢化により、活動を担う人員が減ったことを主な理由として挙げていた。

 カトリック中央協議会の「カトリック教会現勢」によると、国内の修道女は2014年には終生誓願者と有期誓願者を合わせて5216人だったが、2024年には3905人となり、10年間で約25%減少した。

 現在、国内でホスチアを製造している修道院は泰阜を含め5カ所。泰阜の閉院は、修道院の減少が共同体内部の問題だけでなく、全国の教会で日々営まれる典礼を支えてきた仕事の継承にも影響を及ぼし始めていることを示している。

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