韓国で「主礼なし結婚式」「殯所なし葬儀」広がる 人生の節目で変わる教会の役割 2026年8月14日

韓国で、牧師らが式を取り仕切る「主礼」を置かない結婚式や、弔問客を迎える「殯所(ひんじょ)」を設けない葬儀が広がっている。結婚や死別という人生の節目を長く牧会の重要な場としてきた教会にとって、儀礼の簡素化や個人化にどう向き合うかが課題となっている。韓国「国民日報」系のキリスト教メディア「ザ・ミッション」が8月10日付で報じた。
韓国では近年、弔問客を迎える専用の殯所を設けず、家族を中心に故人を送る「無殯所葬」が広がっている。調査会社エムブレイン・トレンドモニターが6月に発表した消費者調査では、無殯所葬を「知っている」と答えた人が72.1%、殯所がなくても十分に礼を尽くせると考える人が77.0%に上った。自分自身の葬儀を無殯所で行う意思がある人も71.8%で、80.3%が今後さらに増えると予想した。
背景には費用負担に加え、高齢化や少子化による弔問客の減少があるという。ただし、無殯所葬は葬儀そのものを行わないという意味ではない。記事で紹介された牧師兼葬祭ディレクターによると、殯所を設けなくても遺体を整え、納棺し、出棺するといった手続きは行われる。牧師を招いて慰めの礼拝を行うことも可能で、日本で通夜や告別式などの宗教儀礼を行わず火葬する「直葬」とは必ずしも同じではない。
一方、結婚式でも「牧師に主礼を頼むか」という選択を越え、主礼者そのものを置かない形式が広がっている。同紙は、来年結婚を予定する20代のキリスト者女性を紹介。出席する友人の多くが教会員ではなく、他の結婚式で牧師の主礼が始まると席を立つ参列者を見たことなどから、主礼なしの式を選んだという。ただし、牧師による祝福の祈りは受けたいとしており、宗教的意味そのものを拒んでいるわけではない。
高神大学でキリスト教倫理学を教えるカン・ソンホ氏は、儀礼を簡素化することと、その宗教的意味までなくすことは分けて考える必要があると指摘する。小規模な葬儀でも牧師を招いて慰めの礼拝を行うことはできるとして、教会側にも従来の形式を維持するだけでなく、結婚や死を信仰の中でどう受け止めるかをあらかじめ伝える牧会的な働きが必要だとした。
同様の変化は日本でも見られる。リクルートブライダル総研の「結婚マーケット調査2025」では、結婚式について「定番やしきたりにとらわれず、二人の価値観に合った自由なやり方をすればよい」と考える割合が約9割に上る。挙式を行った人では依然としてキリスト教式が最も多く、約4割を占めるが、宗教者を介さず参列者に結婚を誓う「人前式」も定着している。
日本では1990年代以降、キリスト教式が急増する一方、2000年代以降は宗教色が薄く自由度の高い人前式が存在感を増している。ただ、日本の「キリスト教式」は必ずしも教会所属やキリスト教信仰を意味せず、衣装や会場の雰囲気などから選ばれる場合も多い。
葬儀では日本も小規模化が顕著だ。終活情報サービス大手の鎌倉新書が2024年に行った全国調査では、家族や近親者を中心とする「家族葬」が50.0%で最多となり、通夜を行わない「一日葬」が10.2%、宗教儀礼を伴わず火葬のみで送る「直葬・火葬式」も9.6%を占めた。都市化や核家族化による地縁の希薄化などが背景にあるとみられている。














