英自由民主党 キリスト教徒候補への宗教差別認める 元候補が約1億5千万円請求 2026年8月24日

 英自由民主党(リベラル・デモクラッツ)から下院議員候補に選ばれた後、キリスト教信仰をめぐる対立の中で公認を外されたデービッド・カンパナーレ氏(元BBC記者)が、同党に約78万9千ポンド(約1億5千万円)の損害賠償を求めている。党側はすでに、宗教・信条を理由とする直接・間接差別などについて責任を認めており、現在は賠償額が主な争点となっている。英紙「ガーディアン」と英キリスト教メディア「プレミア・クリスチャン・ニュース」が8月21日に報じた。

 英国国教会の信徒で福音派キリスト者のカンパナーレ氏は、長年BBCで記者として勤務し、キリスト教国際援助団体ティアファンドの活動にも携わった。自由民主党では2022年1月、ロンドン南西部サットン・アンド・チーム選挙区の次期総選挙候補に選出されたが、その後、地元党員との対立が表面化した。

 カンパナーレ氏側は、人工妊娠中絶や自殺幇助など生命倫理をめぐる自身のキリスト教的信条を理由に、一部党員から公認候補を辞退させる運動を受けたと主張。訴状では、信仰をからかわれたり、選挙運動から排除されたりしたほか、キリスト教信仰に基づく良心を政治活動に持ち込む権利はないとの趣旨の発言を受けたとしていた。党の内部手続きを経ても問題が解決せず、最終的に候補から外された。

 同氏は2024年2月、サットン、ロンドン地域、イングランドの自由民主党組織を相手取り、2010年平等法に違反するとしてロンドンの裁判所に提訴した。党側はその後、カンパナーレ氏の「保護される信条」を理由に違法な差別があったことを認め、直接差別、間接差別、ハラスメント、差別を訴えたことを理由とする不利益取り扱い、契約違反について責任を受け入れた。裁判所は損害賠償額を別途審理することとした。

 今回裁判所に提出された損害額算定書によると、カンパナーレ氏側の請求額は利息を含め78万8740ポンド。精神的苦痛への賠償5万6200ポンド、加重損害賠償1万2500ポンドのほか、過去と将来の逸失利益、国会議員となっていた場合の年金、議員当選の機会を失ったことによる損失、カウンセリング費用などを含む。後任候補のルーク・テイラー氏は2024年総選挙で同選挙区に当選した。

 これに対し自由民主党側は、請求額を「著しく過大」と主張しており、賠償総額は約2万ポンド程度にとどまるべきだとしている。精神的苦痛への賠償については1万4千ポンド程度が妥当とし、将来の収入や議員年金、政治的機会の喪失などに対する請求には応じない姿勢を示している。

 自由民主党はメディアの取材に、「係争中の事件なのでコメントするのは適切ではない」とした上で、同党には「あらゆる信仰を持つ人も、持たない人も居場所がある」と説明。党首のエド・デービー氏を含め、近隣選挙区にも実践的なキリスト教信仰を持つ自由民主党議員がいると強調した。

 党内からも対応を検証するよう求める声が上がっている。元自由民主党副党首のサイモン・ヒューズ氏は6月、カンパナーレ氏に対する宗教差別があったことは明らかだとして、党による正式な謝罪と独立調査を要求。自由民主党キリスト教フォーラムも、地方、地域、全国レベルにまたがる組織的な問題を検証するよう求めている。

 同党では2017年にも、福音派キリスト者だったティム・ファロン党首が、同性間の性行為などに関する個人的な宗教観を繰り返し問われた末、「キリストに忠実であること」と進歩的な政党の指導者であることの両立が困難になったとして辞任した経緯がある。

海外一覧ページへ

海外の最新記事一覧

  • 聖コレクション リアル神ゲーあります。「聖書で、遊ぼう。」聖書コレクション
  • 求人/募集/招聘