チェコ大司教区 LGBTQ+信徒らの巡礼を中止 オンライン上の〝敵意〟受け安全確保困難に 2026年8月17日

チェコ東部のカトリック・オロモウツ大司教区は、9月に予定していたLGBTQ+の信徒らによる巡礼を中止した。オンライン上で否定的な反応や敵意を示す投稿が相次ぎ、参加者の安全を確保することが困難になったためとしている。大司教区が8月14日に発表し、独カトリック系メディア「ドムラジオ」が16日、KNA(カトリック通信)の配信記事として報じた。
中止されたのは、複数の教区からLGBTQ+の信徒やその家族、友人らが参加する予定だった巡礼。大司教区によると、開催をめぐってオンライン上で「否定的、さらには憎悪を伴う反応」が広がり、主催者側が安全な場を確保することは難しいと判断した。教区広報は、中止について外部からの圧力に屈したものではなく、「危険な状況を避ける」ための決定だと説明している。
同大司教区では2年以上にわたり、性的指向を理由に教会で疎外感を抱く信徒らへの牧会活動を続けてきた。ヨゼフ・ヌジーク大司教は今回の発表で、こうした牧会は教会の教えを変更するものではないとした上で、神を求める人に教会が目や扉を閉ざすことはできないと強調。一人ひとりとの出会いや傾聴、継続的な同伴を活動の中心に据える考えを示した。
巡礼の中止後も、オロモウツでの定期的な集まりは継続する。学期中の毎月第1火曜日に開かれており、約20人が参加して祈りや信仰についての対話、経験の分かち合いなどを行っている。大司教区は、公開行事から退くことが当事者との関わりから退くことを意味するものではないとしている。
LGBTQ+のカトリック信徒を対象とした礼拝や集会が、オンライン上の反発や抗議に直面した例はチェコに限らない。
米ペンシルベニア州ピッツバーグでは2023年6月、カトリック系デュケイン大学でLGBTQ+のカトリック信徒との連帯を掲げたミサが予定されていたが、教区に数百件の抗議が寄せられ、一部には脅迫的な内容も含まれていた。企画は地元のカトリック信徒団体が主催し、前年にも同様のミサが問題なく行われていたが、告知の一部で「プライド・ミサ」と表記されたことをきっかけに批判が拡大した。デービッド・ズービック司教(当時)は、教区や大学が事前に企画を承認したものではないと説明し、中止を要請。主催者側は開催を断念した。
この事例では、脅迫的な反応への懸念だけでなく、ミサの位置付けをめぐって司教と主催者側の認識に違いがあった。そのため、安全確保を主な理由として巡礼を取りやめた今回のチェコの事例とは事情が異なるものの、LGBTQ+の信徒を迎えようとする教会内の試みが、オンラインでの激しい反発を契機に中止へ至った点では共通する。
同年8月、ポルトガル・リスボンで開かれたカトリックの「世界青年の日」(WYD)でも、LGBTQ+の巡礼者らによるミサをめぐって抗議が起きた。インターネット上で抗議の呼びかけが広がったため、当初予定していた会場側が懸念を示し、主催者は急きょ別の教会へ会場を変更。当日には約十数人の抗議者が祈りを唱えながらミサを妨げ、警察が退出させた。ミサそのものはその後も続けられた。米カトリック系メディア「ナショナル・カトリック・リポーター」が報じた。
一方、2025年9月にローマで行われた聖年(ジュビリー)では、LGBTQ+のカトリック信徒や家族らによる巡礼が実施され、1千人を超える参加者がサンピエトロ大聖堂の「聖なる扉」を通った。巡礼は聖年の公式日程にも掲載されたが、バチカン側は、掲載は主催や公認を意味するものではなく、巡礼団の受け入れを円滑にするためのものと説明している。














