英BBCが地域宗教番組を6本に削減へ 公共放送の「宗教を伝える役割」問う 2026年10月3日

英公共放送BBCが、イングランド各地のローカルラジオで日曜朝に放送している宗教・信仰番組を大幅に削減する方針を検討している。現在、地域ごとに制作されている番組を6本に集約する計画で、宗教放送の充実を訴えてきたSandford St Martin Trust(サンドフォード・セント・マーティン・トラスト)は、地域の宗教共同体を伝える公共放送の役割が失われるとして再考を求めている。英「チャーチ・タイムス」などが10月2日までに報じた。
BBCはかつて、イングランドにある39のローカルラジオ局がそれぞれ日曜朝の宗教番組を制作していた。2023年の再編で地域をまたいだ番組へ統合され、今回はさらに6番組へ削減する案が示された。
RadioTodayによると、6番組は日曜朝に4時間放送され、宗教・信仰を中心に扱うが、最後の1時間にはガーデニングも組み込まれる予定。今回の再編はBBCローカル全体で900万ポンドを削減し、90のポストを減らす計画の一部で、スタッフや労組との協議を経て決定される。平日深夜の地域番組をBBC Radio 5 Liveとの共同番組に切り替えるなど、宗教番組だけを対象とした削減ではない。
BBC全体では今後3年間で5億ポンド規模の経費削減が課題となっている。マット・ブリティン会長兼事務総長は9月、視聴者のオンデマンド移行と財政状況を踏まえ、一部のチャンネルやラジオ局を将来的に維持できなくなる可能性にも言及。「どの番組やチャンネルも永遠に存在すると保証することはできない」と述べていた。
宗教放送を顕彰・研究してきたSandford St Martin Trustが問題視しているのは、番組数だけではない。同団体は2024年のBBCに関する報告書でも、39局の地域宗教番組が広域番組へ統合されたことで、地域の信仰共同体が自分たちをメディアの中に見出しにくくなったと指摘。長年BBC Radio Solentで日曜朝の番組を担当したティム・デイキン氏は、地域番組にはキリスト教だけでなく、イスラム教などさまざまな宗教共同体の日常的な活動を紹介し、異なる信仰を持つ人々の対話を仲介する役割があったと説明している。
広域化によって懸念されるのは、大規模な宗教行事や論争だけが取り上げられ、地域の教会、モスク、シナゴーグなどが担う福祉や交流活動が報道されにくくなること。Sandford St Martin Trustは、宗教に関する知識を信者だけに必要なものではなく、社会を理解するための「宗教リテラシー」と位置付け、質の高い宗教・倫理報道は公共放送が担うべき役割だと主張している。
海外の公共放送に目を向けると、宗教番組を一定程度制度的に維持している国もある。ドイツの公共放送ZDFは毎週日曜、午前9時半から45分間、カトリックとプロテスタントの礼拝を交互に放送している。年1回は正教会の礼拝も放送する。ZDFは、教会に「適切な放送時間」を認めるZDF州条約を法的根拠として明示しており、礼拝の内容や典礼は各教会が責任を負う。
フランスでも、France 2が日曜午前にカトリック番組「Le Jour du Seigneur」を放送。1950年から続く番組で、現在も特集・インタビューとミサ中継を組み合わせて放送している。
オーストラリアの公共放送ABCも、Radio Nationalで宗教と時事問題を扱う「The Religion and Ethics Report」を毎週放送し、日曜にも再放送しているほか、宗教やスピリチュアリティーを掘り下げる1時間番組「Soul Search」も日曜に編成されている。一方、ABC自体は財政的な制約とデジタル移行を理由に、長寿番組を含む既存番組の見直しを進める方針を示しており、英国だけの問題とは言い切れない。
















