韓国・旧統一協会 韓鶴子総裁に懲役2年 裁判所「大統領選を教勢拡大の機会に」 2026年9月1日

 韓国のソウル中央地裁は8月31日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権との「政教癒着」をめぐり、政治資金法違反などの罪に問われた世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(83)に計懲役2年を言い渡した。裁判所は、教団が2022年の大統領選を「教勢拡大の機会」と捉え、政治的影響力を広げる目的で一連の行為に及んだと認定した。韓国の聯合ニュース、「ハンギョレ」などが報じた。

 韓総裁は、尹氏が大統領選候補だった22年1月、側近だった権性東(クォン・ソンドン)元国会議員に教団資金から1億ウォンを渡したほか、同年3~4月には教団側の資金1億4400万ウォンを与党「国民の力」所属議員らへ分割して献金したとして起訴された。また、尹氏の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏に対し、教団の懸案について便宜を得る目的で、高級バッグや宝飾品など計約8千万ウォン相当を提供した罪にも問われた。

 韓総裁側は、政治家への働きかけは尹英鎬(ユン・ヨンホ)元世界本部長が独断で行ったとして関与を否定してきた。しかし裁判所は、尹元本部長が具体策を立案・実行し、韓総裁に報告して承認を受け、鄭元珠(チョン・ウォンジュ)元総裁秘書室長が意思決定や資金執行に関与するという役割分担があったと判断。韓総裁について「統一教の頂点にいる人物」と位置付けた。

 裁判所は一連の行為について、教団の「資金力を前面に出し、大統領選を教勢拡大の機会とみて、政治的影響力を拡大する目的」で行われたと指摘。尹氏の当選後、教団が掲げる政策への国家的支援を得ることで、その影響力を継続的に確保しようとしたと認定した。一方、分割献金に伴う一部の業務上横領については無罪とし、証拠隠滅教唆など一部の罪は特別検察官の捜査対象外だったとして公訴を棄却した。検察側は計懲役13年を求刑していた。

 教団側は判決後、「今回の事件による社会的衝撃と国民的懸念を非常に重く受け止めている」と謝罪する一方、韓総裁が違法行為を指示、承認したとの認定については「到底受け入れ難い」と反論。「事実関係と法理判断の誤りを正す」として控訴する方針を示した。

 日本でも旧統一協会をめぐっては、22年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を契機として、高額献金や宗教2世の被害とともに、教団や関連団体と政治家との長年にわたる関係が改めて問題となった。

 日本政府は23年10月、世界平和統一家庭連合に対する解散命令を東京地裁に請求。東京地裁が25年3月に解散を命じ、東京高裁も今年3月、教団の即時抗告を棄却した。さらに最高裁第3小法廷が6月22日付で特別抗告を棄却し、解散命令が確定した。最高裁は、教団が長期間にわたって不相当な献金勧誘を続け、多数の人に多額の財産的、精神的損害を与えたとして、信者らへの宗教的影響を考慮しても解散は「必要でやむを得ない」と判断した。現在は裁判所が選任した清算人による清算手続きが進められている。

 ただし、日本の解散命令は高額献金など長年にわたる不法行為を理由として宗教法人格を失わせる手続きであり、韓国の今回の判決は政治資金提供や金品供与をめぐって韓総裁個人らの刑事責任を問うもの。また日本で法人格が失われても、信者個人の信仰や宗教団体としての活動そのものが禁止されるわけではない。日本基督教団カルト問題連絡会も解散命令を支持する一方、信者や元信者、その家族への差別につながらないよう求めている。

 一方、韓国キリスト教教会協議会(NCCK)は判決に先立つ31日、「宗教の名前と組織、資金が政治権力に影響を及ぼしたり、政治的な見返りを得たりするために動員される時、信仰の公共性と市民の政治的自由、民主主義の土台が損なわれる」とする声明を発表した。違法な政治資金提供や組織動員への捜査を「宗教弾圧」と位置付けることにも懸念を表明し、「宗教の社会参加は弱者の尊厳と公共善のためでなければならない」と強調している。

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