世界エキュメニカル平和大会閉幕 南北教会の対話再開を 「ソウル平和宣言」採択 2026年9月14日

世界教会協議会(WCC)、アジアキリスト教協議会(CCA)、韓国基督教教会協議会(NCCK)が共催した「2026世界エキュメニカル平和大会」が9月13日、ソウルで閉幕した。世界の教会や平和・人権運動関係者ら約300人が参加し、朝鮮半島の平和、軍縮・非核化、世界各地の紛争をめぐって5日間にわたり協議した。
大会では11日、「ソウル平和宣言」を採択。平和を単に戦争のない状態ではなく、正義、癒やし、和解を伴う過程と位置付け、朝鮮半島の停戦体制から恒久的な平和体制への移行、核兵器廃絶、南北の民間交流や人道協力、気候変動・災害への共同対応などを求めた。
今年は、1986年にスイス・グリオンで南北のキリスト者がWCCの仲介によって公式に出会ってから40年に当たる。開会礼拝でWCCのジェリー・ピレイ総幹事=写真=は、グリオンで南北のキリスト者が「敵」ではなくキリストにある兄弟姉妹として出会った歴史に触れ、政治が壁を築いた場所でも信仰は橋を架けられると強調した。「正義なき平和」は権力によって押し付けられた沈黙にすぎないとして、双方の苦しみを認め、一人ひとりの尊厳を守ることが和解の前提だと訴えた。
今年6月に第11代CCA総幹事に就任したチョン・ウン・グレース・ムン氏も開会にあたり、朝鮮半島の平和を求める韓国の人々に対するアジア諸教会の連帯を表明した。世界で紛争や軍事化、強制移住、経済的不安、環境破壊、核兵器の脅威が深まる中、政治的野心や武力による安全保障ではなく、教会は「和解、共感、正義、希望」という別の言葉を語るよう召されていると強調した。
ムン氏は70年以上続く朝鮮半島の分断を「人間的、道徳的、霊的な悲劇」と位置付け、離散家族、軍事的対立、核の脅威がなお現実であり続けていると指摘。朝鮮半島を「地政学的競争や大国の利益の舞台」にしてはならず、子どもたちが戦争の脅威から解放され、家族が再会できる未来を築くべきだと訴えた。CCAが大会を共催した意味を、韓国だけの問題ではなくアジア全体の教会が担う平和課題として明確にした発言といえる。
現在、南北教会の直接交流は事実上途絶えている。しかし対話の回路が完全に失われたわけではない。ピレイ総幹事は11日、韓国の韓成淑首相と会談。ムン氏、NCCKの朴承烈(パク・スンリョル)総幹事、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメリッサ・パーク事務局長らも同席した。双方は、いきなり統一や和解という政治的に困難な課題から始めるのではなく、気候変動、人道支援、社会的課題など、生活に密着した分野から交流を再開する可能性について意見を交わした。韓首相も、宗教界やエキュメニカル運動が南北間で途絶えた連絡を再びつなぐ役割に期待を示した。
WCCによると、北朝鮮の朝鮮キリスト教連盟から8月、WCC創立78周年を祝うとともに、友好と連帯を継続したいとのメッセージも届いた。WCCはこれを「小さいが励みとなる兆候」と受け止め、南北のキリスト者が直接出会える機会を模索していくとしている。ピレイ氏は、人々がまず出会い、交わり、共に食卓を囲むところから対話を始め直す必要性を語った。
参加者は12日にはDMZ周辺で平和巡礼を実施。40年前のグリオンで始まった南北教会の出会いを、現在の厳しい政治状況の中でどう再構築するか。「ソウル平和宣言」を具体的な交流へつなげられるかが、WCC、CCA、NCCKとアジアの諸教会にとって次の課題となる。
写真=NCCK















