韓国・基長、AI活用で教団総会を「デジタル化」 電子投票・報告書を即時配信 2026年9月21日

韓国基督教長老会(基長)は9月15~17日、江原道洪川のソノベル・ビバルディパークで開いた第111回総会で、AI(人工知能)を活用して独自開発した電子投票や会議資料配信システムを本格導入した。約580人の総代がスマートフォンなどから投票し、審議中の報告書も議事の進行に合わせて即時に閲覧できるようにした。韓国『뉴스앤조이(ニュース・アンド・ジョイ)』が9月21日、開発を担った牧師らへの取材を基に詳報した。
電子投票では総代一人ひとりにQRコードを配り、投票のたびに変わるコードを入力する仕組みを採用。操作が難しい総代にはスタッフが対応し、予備のタブレット端末も準備した。総会期間中、投票システムで大きな障害は発生しなかったという。会場で最も注目された牧師副総会長選挙でもこのシステムが用いられた。
会議資料の扱いも従来から大きく変えた。数百ページに及ぶ総会報告書を単にPDFで配布するのではなく、議事の進行箇所に合わせて必要なページをウェブ上に表示する仕組みを構築。審議中に新たに承認された報告についても、総代から「許可します」との声が上がった後、約3秒で最大1千人が同時に閲覧できる状態に反映されたという。紙の報告書の印刷量も大幅に減った。基長は総会前の9月4日、「デジタル総会」アプリを総代らに配布し、会期中の通知や資料を同アプリで提供すると案内していた。
システムを支えたのは、総会デジタル委員長の李鍾徳(イ・ジョンドク)牧師と、総会AIデジタル宣教部長の朴奉煥(パク・ボンファン)牧師。プロジェクトマネジャーとしての職務経験を持つ朴氏が約2カ月で実際のシステムを開発した。業者に委託すれば電子投票だけで約2千万ウォンの費用が見込まれ、会議用ウェブサービス全体については2億ウォンの見積もりを提示されたこともあったという。AIをコーディングに活用することで、教団内部での開発を可能にした。
基長では近年、教団運営そのもののデジタル化を進めてきた。今年7月には総会デジタルAI宣教部が独自に開発した牧会者住所録サービスを開始し、8月には地図から所属教会を検索できるサービスも公開した。総会本部の同部門は、行政業務のAI転換、アプリ開発、デジタル能力向上などを担当している。
さらに、1953年の教団発足以来蓄積されてきた文書のデジタル化も進める。『ニュース・アンド・ジョイ』によると、資料をスキャンして文字認識できるよう整備し、従来60%台だった認識率を90%以上まで高めた。今年はこれらの教団資料を活用し、所属牧会者が利用できるAIチャットボットの開発も計画している。
一方、基長はAI導入を無条件に推進しているわけではない。今回の総会ではデジタル委員会が提出した「AI牧会倫理基準」の策定、AI政策と教育方針をめぐる討論会の開催なども承認された。説教や教育資料の作成でAIを利用する際の事実・出典確認、著作権と盗用、個人情報や牧会相談の秘密保持などについて教団として基準を整える。総会前の記者会見でも、これらを主要議題の一つとして紹介していた。
奇しくも、第111回総会が採択した宣言文は、AIが人間の制御を離れて発展する危険にも強い懸念を示した。技術の利便性や利益だけを追求するのではなく、人類が「集団知」を通じてAIを制御するための議論と合意が必要だと訴えている。教団行政ではAIを積極的に活用しながら、その利用を制御する倫理的枠組みも同時に整えようとしていることになる。
こうした動きは基長に限らない。今年の韓国主要教団総会では、大韓イエス教長老会・合同も「AI倫理および信仰活用ガイドライン」を教団の公式方針として採択。聖書の権威をAIの回答で代替しないこと、説教や祈り、霊的ケアを技術任せにしないこと、AIによる説教の「代筆」を認めないことなどを盛り込んでいる。一方、基長は今回、倫理指針の策定を決めると同時に、教団運営の現場でAIを実際に使う段階まで踏み込んだ。
朴氏はデジタル化について、技術についていくのが難しい人々を置き去りにするのではなく、そうした人々を支える道具でなければならないとの考えを示す。基長では今後、大きな文字で聖書や賛美歌を表示できる「デジタル週報」の導入なども計画している。















