【「親なきあと」をともに生きる~お寺と教会の〈語らい〉から始まる支援】 『心のよりどころ』で現実の不安に寄り添う――FPとして見つめる支え合い 福本知輝 2026年9月21日

私は普段、ファイナンシャルプランナー(FP)として個人のお金や相続のご相談をお受けする傍ら、全国でも珍しい「寺院向けのファイナンシャルプランナー」としても活動しています。広島県三次市の浄土真宗本願寺派源光寺で福間玄猷住職が主宰している「お寺と教会の親なきあと相談室 源光寺支部」には、約3年前の開設当初から相談員および講師として関わらせていただいております。
この活動に参加した大きなきっかけは、私自身の原体験にあります。かつて私自身、仕事やプライベートで深く悩み、暗闇の中にいた時期がありました。その際、ふと耳にした仏教の法話に心を救われたのです。
一人で問題を抱え込み、行き詰まっていた私にとって、「そのままの自分でいい」「自分の話を否定せずに聴いてもらえる」「ここにいていいんだ」と思える体験は、まさに暗闇の中に射し込む光のようでした。
お寺や教会といった宗教施設は、現代においてはどこか敷居が高く感じられがちです。しかし本来は、誰もが気軽に寄り道し、羽を休めて良い場所のはずです。どんな悩みを抱えた人が来ても温かく受け入れ、ただ話し相手になるだけでも、孤立した心をほぐす大きな救いになります。
私は、宗教施設が持つ静謐な美しさや神秘さは、安らぎや「守られている」といった感覚を自然と与えてくれるのではないかと思っています。

広島県三次市の源光寺で行われた「お寺と教会の親なきあと相談室」の講演会に登壇する筆者=2025年4月
一般的な相談室と違って、「安心して自分のことを話していいんだ」という温かな空気が自然と醸成されやすいのも、こうした場所が持つ大きな魅力だと感じています。
近年はインターネットやSNSが普及し、欲しい情報は容易に得られる時代になりました。しかしその一方で、直接「人に話す」機会が減り、「一人で抱え込む」人が増えてきたように感じています。私は職業柄、お金のご相談を日々お受けしていますが、最近はこの傾向が特に顕著になってきている実感があります。
「お金のこと」や「親なきあと」といったテーマは、特に一人で抱え込みやすい問題です。だからこそ、どうか一人で悩まず、周囲や専門家に頼っていただきたいと心から願っています。明確な解決策を探す前であっても、まずは思いを言葉にして話してみるだけで、心はすっと軽くなっていくはずです。
お寺と教会の親なきあと相談室では、そうした温かな心の受け皿になりながら、一歩踏み込んで「専門知識を用いて実際に力になる」ことができる点が最大の強みです。専門家としての知恵と、宗教施設が持つ包容力が組み合わさることで、現実的な不安を一つずつ解消していくことができます。
相談室のスタート当初から参加している地域の方々が、ありがたいことにさらにお仲間を誘ってくださり、少しずつ温かな輪が広がってきているのを感じます。こうした取り組みが広島県北部の三次市から県内全域へ、そして日本全国のお寺や教会へと広がり、一人でも多くの方の「心のよりどころ」となっていくことを切に願っております。
ふくもと・ともき ファイナンシャルプランナー(FP)。お金や相続の専門家として個人の生活設計を支える傍ら、全国的にも稀有な「寺院向けFP」として寺院経営や檀信徒・門信徒の生活相談に対応。「お寺と教会の親なきあと相談室 源光寺支部」にて相談員および講演講師として活動を続けている。
*問い合わせは同相談室(https://otera-oyanaki.com/)まで。
【「親なきあと」をともに生きる~お寺と教会の〈語らい〉から始まる支援】 答えではなく、共感を求める場所 坂口愛乃 2026年9月11日















