メッシ代表引退 カトリック信仰とバチカンとの絆を振り返る 2026年10月8日

 アルゼンチン代表のリオネル・メッシが10月6日、ブエノスアイレスで行われたベナンとの親善試合を最後に、21年間に及ぶ代表キャリアに幕を下ろした。試合はアルゼンチンが3―0で勝利。メッシは1得点2アシストを記録し、代表通算208試合、126得点で代表を去った。

 メッシは8月31日、代表引退を表明。「つらい決断だったが、心の奥底では今もつらい。しかし、時が来たことは分かっている」とSNSに記した。「このユニホームのために、いつもすべてを懸けて戦ってきた」と代表への思いをつづり、「もうささげられるものは何も残っていない」との言葉も伝えられた。父ホルヘ氏の死去も、決断を固める一因になったという。

 最後の試合後、メッシは「最初に思い浮かぶのは父だ」と語り、代表のユニホームを20年以上着続けられたことへの誇りを口にした。さらに「アルゼンチン人として生まれたことを神に感謝している」と述べ、観客に「ありがとう」と呼びかけた。

 英カトリック週刊誌「The Tablet」や宗教専門メディア「Rome Reports」などは、引退に際して、メッシのカトリック信仰とバチカンとのつながりを改めて紹介した。

 ゴール後に天を仰ぐ姿や、右腕に刻まれたイエス・キリストのタトゥーは、信仰を示すものとしてたびたび取り上げられてきた。2022年ワールドカップ決勝後、メッシは「神がこのトロフィーを与えてくれると予感していた」と語り、PK戦の前にも神に祈っていたと明かしている。2024年のインタビューでは、自身の才能について「神が私を選び、贈り物を与えてくれた」と述べた。

 メッシは神への感謝とともに、家族の健康や幸福を祈っているとも語ってきた。2023年には、2022年ワールドカップ決勝のPK戦を振り返り、「生涯ずっと、いつも神に祈ってきた。あの時はなおさらだった」と述懐。家族を大切にする姿勢と、信仰を静かに語る姿が宗教系メディアに注目されている。

 バチカンとの関係が注目されるきっかけの一つは、2013年の教皇フランシスコとの面会だ。教皇がアルゼンチン、イタリア両代表を迎えた際、メッシはイタリア代表のジャンルイジ・ブッフォンとともにオリーブの木を贈呈した。メッシとブッフォンは、教皇が創設した教育ネットワーク「Scholas Occurrentes」の設立時の後援者にも名を連ねた。2014年にはローマで開催された異宗教間の平和試合に参加し、2022年にも同団体の平和試合を支援している。

 教皇フランシスコは2023年、メッシについて「礼節のある、本当に紳士的な人」と評した。Rome Reportsは、両者のつながりを、教育や平和、和解をめぐる橋渡しとして紹介している。

 代表引退は単なるスポーツの区切りではなく、カトリック信者として歩んできた人生の一章を閉じる出来事として位置づけられている。なお選手としてはインテル・マイアミで現役を続け、「神が望む限りプレーする」との思いをこれまで通り抱き続けている。

(福島慎太郎)

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