「国のために」集団自決 教科書検定撤回求め集会 金城重明氏が証言 2007年12月25日

 沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への軍の強制を削除した教科書検定意見の撤回を求める全国集会(主催・東京沖縄県人会、大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会)が12月3日、九段会館(東京都千代田区)で開かれた。

 初めに渡嘉敷島の「集団自決」で九死に一生を得た金城重明氏(沖縄キリスト教短期大学名誉教授)が、母と弟妹らに自ら手をかけた体験や、当時の凄惨な状況について証言した。

 同氏は、「集団自決」における軍命の有無について「自発的ならば自分の集落で死を遂げたはず」「日本軍が駐屯した島々でしか起こっていない」「(『自決』以外の目的で)天皇から授かった武器が非戦闘員に配られることはあり得ない」などの根拠を挙げ、「軍によって集団死に追い込まれたことは歴然とした事実。二つの論があるから記述を抹消するというのは屁理屈だ」と強調した。

 また、「沖縄戦のキーワードは、『軍・官・民の共生・共死』。皇民化教育によって、軍と運命を共にするという意識、国家のために死ぬという構えが作られていた」と語った。

 当時16歳だった同氏は、手榴弾の不発で「自決」が失敗した混乱状態の中、大人たちがどのように死ぬのか目を凝らしていたという。区長だった男性が、へし折った木の枝で妻子を殴り殺したのをきっかけに、まず幼い子どもから殺されていった。そして同氏も、涙を流す母に石で一撃を加えて命を絶つ。「末期の心理状態は、生き残ったらどうしようという恐怖だった。捕らえられたら惨殺されるので、愛する者の命を自らの手で絶つことがせめてもの慰めだと思っていた」「愛情の深さが殺害の徹底を表していた」と当時の心境をふり返り、同級生にも手をかけたが失敗に終わったことを打ち明けた。

 「戦争の悲劇は、再びくり返さないために継承されなければならない」との訴えに、集まった約1千人の参加者は耳を傾けていた。集会では、検定意見撤回や訂正申請の承認、沖縄条項の追加などを求めるアピールを採択した。

 この問題で、教科書会社6社は軍の強制を明記した訂正を申請。これに対し文科相の諮問機関・教科用図書検定調査審議会(検定審)は12月6日、「集団自決は多様な背景、要因があり、単純に軍の命令・強制とはいえない」として、断定的記述を避けるよう示唆したことが明らかになった。これを受けて教科書各社は、訂正申請の再検討に入るものと見られている。

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