【映画評】『天使の贈りもの』/『素晴らしき哉、人生!』/『戦場のアリア』 クルシミマスを喜びの日に変える3本

 クリスマスは牧師にとって「クルシミマス」とよく言われる。街の賑わいをよそに多忙な時期が始まる。そうした中で「天使の贈りもの」(原題The Preacher’s Wife)は一服の清涼剤となるに違いない。ヘンリーは何事にも誠実に取り組み、人々から信頼される聖マタイ教会の牧師。しかし教会は財政難で、存続の危機にある。また多忙ゆえ、妻子と意思の疎通もうまくいっていない。すべてのことが思いどおりに運ばず、彼は燃え尽き症候群となる寸前だった。そんなクリスマスを目前に控えたある日、天使と称する男が現れ、天上のボス(=神)から彼らを救うため派遣されたと語る。牧師は笑って取り合わないが、奇跡はゆっくりと着実に進められていく。

 映画の中で、「教会は住民たちを結びつける絆だ」という台詞が登場するなど、教会の大切さ、貴さを改めて痛感させられる。天使を演ずるのは、二度アカデミー賞に輝く名優デンゼル・ワシントン。父親が牧師で、母親は教会でゴスペルを歌うという、まさにこの映画の舞台と同様の環境で生まれ育った。そのせいか、とても自然に、楽しみながら演じているように見える。牧師の妻役はシンガーのホイットニー・ヒューストン。彼女も幼い頃から教会のゴスペルクワイアのメンバーとして歌っていたせいか、演技がとても自然である。

 

 心優しき主人公を助けるために天使が遣わされるという設定は、往年の名作「素晴らしき哉、人生!」でも同様である。

 父親の急逝により、自分の夢を捨てて事業を継承することになった主人公ジョージ。彼は誠実に働き、多くの人々から信頼を得るようになる。しかし皮肉なことに、数年経ったクリスマスイヴの日、一緒に働く叔父が重大なミスをおかし、会社は倒産寸前になる。絶望し、投身自殺を図ろうとするジョージの前に、翼を持たない二級天使が現れる。そして、人生を嘆くジョージに、彼が生まれてこなかった場合の世界を見せるのである。それを見たジョージは、ひとりの人間の命がどれほど多くの人々に影響を与えているかを悟り、「もう一度生きたい」と心の底から願うようになる。自殺大国と呼ばれる日本において、必見の映画とも言えるのではないか。

 

 「戦場のアリア」は、第一次世界大戦中の実話に基づくと言われている。

 敵対する連合国軍とドイツ軍が、クリスマスイヴの日、一夜限りの休戦に応じる。特に連合国軍とドイツ軍の兵士たちがキリストの誕生を祝い、共に礼拝を守る場面は圧巻である。クリスマスを迎える前にこれらの映画を鑑賞し、キリストを伝えることの喜びと貴さを改めて確認してみては。

(高砂民宣)

 

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【Ministry】 特集「牧師館からの〝SOS〟」 /対談「病める時代の牧師サバイバル指南」香山リカ×関谷直人 3号(2009年9月)

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