【映画評】『リバー・ランズ・スルー・イット』/『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』/『ショーシャンクの空に』 「救い」を探しに、聖書が開きたくなる3本

 長老教会の牧師家庭に生まれた2人の兄弟の物語を描く「リバー・ランズ・スルー・イット」(A River Runs Through It)。厳しい牧師を父に持つ兄弟というところが、他人事に思えない。兄ノーマンは規律正しく不器用だが堅実な人生を生きる。弟ポールは明るいが自由奔放、酒やギャンブルの危険なにおいがいっぱいで、「放蕩息子」の物語を連想させる。しかし、聖書のようには回心は起こらない。多額の借金を負う弟は、不幸な死へと結末する。弟の生きざまを静かに想う兄の視線に心を打たれる。ブラッド・ピット演ずるポールのさわやかな笑顔が切なさを増すが、そんな彼の人生も大きな神の恵み と愛の中に抱かれていると思わせるように、美しいモンタナの緑と川の流れが優しい。

 

 人との出会いが人生を変えていくドラマ、「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(Good Will Hunting)。天才的な数学の才能を見出された大学の清掃員ウィル(マット・デイモン)は、幼いころ虐待を受けた深い傷を心に負っていて、社会へもうひとつ適応ができない。精神分析医ショーン(ロビン・ウィリアムス)との人間としての出会いの中で真の癒しが起こる。ショーンがウィルの心に焼きついている過去について、「お前が悪かったのではない」と語りかけることによって、心の固い殻を打ち破る場面は心ふるえる。なかなかその言葉を受け取ろうとしないウィルに対し、ショーンは繰り返し同じ 言葉で語りかけていく。そのやりとりには、イエス様がペトロに三度「わたしを愛しているか」と尋ねられた場面が重なって見える。真の牧会は、きっと主の赦しのみことばが頑なな心を突き破っていくような出会いの経験であるに違 いない。

 

 「聖書の中に救いがある」というのは、「ショーシャンクの空に」(The Shawshank Redemption)の中の最大の秘密。

 妻とその愛人を殺したとされて無実の罪を背負い、2回分の終身刑を言い渡されたアンディ(ティム・ロビンス)が刑務所の中を生き抜き、本や音楽に触れる精神的世界を持って生きることの必要性を仲間に訴えかける。ふとしたことから真犯人の手掛かりを得ながらも、刑務所によって力ずくでそれをねじ伏せられた。そんな世界の中で模範的に生きていても、本当の自分を生きることはできない。そこでアンディは一大決心をする。かつては、希望は危険なものだと考えていた親友レッド(モーガン・フリーマン)も、後にアンディから希望を受け取り、死を思いとどまることになる。「信望愛」の真ん中にある希望こそ、勇気を与え、人を生かす力なのである。聖書の秘密を確認したいなら、ぜひご覧いただきたい。

 

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【Ministry】 特集「『説教力』を磨く」/信徒座談会 吉崎恵子×柴崎聰×林あまり×桃井和馬 4号(2009年12月)

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