故・金大中氏を追悼する集い「隣人愛せ」継いで 来日の李姫鎬夫人が謝意 2009年11月28日

 今年8月に死去した金大中(キム・デジュン)韓国元大統領を追悼する集いが11月13日、浜離宮朝日ホール(東京都中央区)で開催され、日韓の関係者ら約400人が出席した。この集いは、73年の拉致事件や80年の死刑判決に際して「金大中氏を殺すな」と声を上げ、救援活動に携わった支援者や日韓の国会議員らが呼びかけて行われたもの。金氏の死後、初めて来日した李姫鎬(イ・ヒホ)夫人も出席し、共に歩んだ夫の生涯をふり返りながら感謝の意を述べた。

 初めに呼びかけ人を代表して河野洋平氏(前衆議院議長)があいさつし、「日本とのかかわりにおいて大きな困難に直面したが、世界全体の平和のために決然として行動された。行動なしに政治家の言葉があってはならないという強い意志があった」と回顧した。

 政界からは同氏のほか、仙谷由人(行政刷新担当大臣)、村山富市(元内閣総理大臣)、冬柴鉄三(公明党前幹事長)、福島瑞穂(消費者・少子化担当大臣)の各氏らが出席。また、韓国からも韓国民主党代表の丁世均(チョン・セギュン)氏、金氏の秘書室長だった朴智元(パク・チウォン)氏、金氏と共に投獄された韓勝憲(ハン・スンホン)弁護士など、多数の関係者が来日した。

 和田春樹氏(東京大学名誉教授)は追悼の言葉で、「命がけで民主主義のために戦う金氏の言葉、行動、苦難を見て学び、わたしたち日本人も成長した」とした上で、1983年の獄中書簡に書かれた「民主主義」「祖国統一」「日韓関係」という三つの「門」を開けた業績をふり返り、「この集いを朝鮮半島全体との対話へ進んでいくわたしたちの決意を固める機会にしたい」と述べた。

 伊藤成彦氏(中央大学名誉教授)は、朝日新聞出版から刊行された李姫鎬夫人の自伝『夫・金大中とともに――苦難と栄光の回り舞台』(米津篤八訳、四六判、448頁、2940円)をもとに、結婚前や大統領就任の際に夫妻が交わした会話などを紹介し、故人を偲んだ。

 続く第2部では、深水正勝氏(カトリック清瀬教会主任司祭、カトリック正義と平和協議会元事務局長)による聖書朗読の後、東海林勤氏(日本キリスト教協議会=NCC=元総幹事)が祈祷をささげた。東海林氏は「金氏は政治的土台ではなく〝道理〟に立ち、すべての行動が〝和解〟を目的としていた。それは、『わたしたちは皆尊厳あるものとして神に創られた人間だ』という叫びでもあった」とキリスト者としての側面を紹介し、「拉致事件に関する日本側の過ちを追及しなかったのは、すべてを水に流すということではなく、神による〝赦し〟とキリストによる〝和解〟を幻として、日本をあえて信頼し自らの責任において誤りを正そうという信仰の表れだった」と述べた。

 崔善愛(チェ・ソンエ)さんのピアノ演奏、沢知恵さんの献歌の後、出席者全員による「We Shall Overcome」の歌声が会場に響き渡った。

 最後に登壇した李夫人は、「NCC韓国問題キリスト者緊急会議」をはじめ、生前親交のあった中嶋正昭牧師、李仁夏牧師らによる支援活動に改めて謝意を表し、「夫は民主主義への確固たる信念を持ち、家族や同志たちに向けられた迫害に胸をさいなまれながらも、揺るがず妥協しなかった」「隣人を愛せというのが夫の遺言。夫の遺志を継いでいくことに残りの生涯をささげたい」と語った。

 翌14日に開かれた在日大韓基督教大阪教会(大阪市生野区)での集いには、関西の在日コリアンら約500人が出席し、故人との別れを惜しんだ。


金大中氏 略歴

1924年1月  全羅南道新安郡荷衣面後廣里出生
 45年~51年 木浦商船社代表、木浦日報社長、
       興国海運社長を歴任。
 61年5月  3度の落選を経て国会議員に当選。
 62年5月  李姫鎬と結婚
 73年8月  東京から拉致。
       5日後ソウルで解放されて自宅軟禁。
 76年~78年 裁判で拘束、懲役5年の判決、服役
 78年12月  刑執行停止、仮釈放、自宅軟禁
 80年5月  クーデターにより逮捕。
       その後、大法院で死刑判決確定、
       無期懲役に減刑
 98年2月  第15代大統領に就任
   10月  日本訪問、日韓共同宣言発表
2000年6月  平壌を訪問、南北首脳会談、
       6・15共同宣言発表
   12月  ノーベル平和賞受賞
 03年2月  第15代大統領退任
 09年8月  ソウル・新村の病院で逝去、国葬 

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