オリエンス宗教研究所50周年シンポジウム 宣教者の養成が課題 2010年1月23日

 今年創立50周年を迎えたオリエンス宗教研究所(ムケンゲシャイ・マタタ所長)は11月28日、カトリック松原教会(東京都世田谷区)で記念シンポジウムを開催した。
 「21世紀の日本における福音宣教のあり方」をテーマに、鈴木隆氏(月刊「福音宣教」編集長)の司会のもと、佐々木博(カトリック仙台教区司祭)、長谷川昌子(聖パウロ女子修道会会員)、田畑邦治(白百合女子大学教授)の各氏がパネリストとして発題した。
 「宣教共同体の育成を目指して」と題して発言した佐々木氏は、「宣教の目標は教会勢力の拡張ではなく、あくまでも神の国の完成」「宣教は本来的に対話的活動であって、一方的な働きかけではない」と強調。「教会自身も福音によって絶えず新たにされなければ宣教はできない」と述べた上で、とりわけ家庭における徹底した信仰教育の必要性を説いた。
 続く長谷川氏は「イエスは御父のメディアとして遣わされた」との題で、文字メディアの役割について語った。「イエスが身近なものをメディアとして多用したたように、一人ひとりがメディアを自分のためだけに使うのではなく、福音宣教のために使うことが大切」と述べ、「福音書の〝文字〟の中に閉じ込められたイエスを〝言葉〟であるキリストとして復活させるために、わたしたち自身がメディアになる必要がある」と訴えた。
 同研究所と30年以上の関わりがあるという田畑氏は、「福音宣教と教育」をテーマに、キリスト教教育の課題を指摘。「『人間』を大事にするという非信者とも共有できる立場から、神を人間中心的に引き下げることなく、計りがたいものに向けて人間を解放することで、自己肯定感が希薄な学生に対してもメッセージを送ることができる」と述べ、「徹底的なヒューマニズムと徹底的な神秘主義は、深いところでつながっているのではないか」と結んだ。
 質疑応答の後、佐々木氏は「教会が果たして宣教者を養成してきたか」と疑問を呈し、「多くの信徒が教会を出た途端にクリスチャンであることを忘れてしまうような現実がある。一人ひとりが派遣された者として、1週間課題を背負っていけるような『宣教者』として教育されなければならない」と加えた。

メモ
 オリエンス宗教研究所=1948年から日本での福音宣教活動を始めた宗教法人カトリック淳心会(日本管区本部・兵庫県姫路市)に属する研究・出版組織で、『共同訳聖書』が生まれるきっかけをつくった。日本の宗教文化に関するさまざまな研究活動に加え、 エキュメニカルな海外の研究機関への情報提供、通信講座、典礼学や聖書学、神学に資する書籍の刊行を行う。

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