ハイチ大地震 M7.0 死者は推定20万人超 早くも各地から支援の手 2010年1月30日

 【CJC=東京】政情不安と貧困にあえぐ中米カリブ海の島国ハイチで1月12日午後4時53分、マグニチュード(M)7・0の強い地震が起きた。その後もM4以上の余震が20回以上観測されている。首都ポルトープランスでは多く

の建造物が倒壊、大統領宮殿や財務省など政府庁舎、駐留する国連部隊の施設も被害を受けた。地震による揺れは1分以上続き、パニック状態の市民が屋外に逃げ出した。多くの被災者ががれきの下に埋まっており、救出活動が続けられている。ポルトープランスでは地上の固定電話、携帯電話ともかかりにくくなっているほか、電力線が寸断され一部地域では停電も起きており、被害の全容の解明が大幅に遅れている。死者は最大20万人にのぼる見通し。

各国が支援表明、民間団体も始動
 国連高官は、ハイチ駐在の国連関係者多数が行方不明になっていることを明らかにした。ヨルダンの国営ペトラ通信は、国連平和維持活動(PKO)の国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)に参加する同国軍兵士3人が死亡、21人が軽傷を負ったと報じた。同派遣団の本部は地震で甚大な被害を受けており、がれきの下に埋もれている可能性も出ている。
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 バラク・オバマ米大統領は声明を発表、政府として人道支援を実施する考えを示した。米国際開発庁(USAID)は、災害対応チーム(DART)派遣に着手。ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領は憂慮の念を表明、状況の把握を急ぐとともに、支援の検討を指示した。ベネズエラ、ニカラグアなど周辺国も相次いで支援を表明している。米州開発銀行は20万ドル(約1800万円)の緊急支援を実施する方針。ドイツ外務省は、100万ユーロ(約1億3千万円)を拠出することを明らかにした。
 日本政府は「早急にどんな支援ができるか検討するよう(事務方に)要請した」と平野博文官房長官が記者会見で述べた。日本赤十字社は救援チームの派遣準備を進めるとともに13日、白田尚道監査室参事をポルトープランスに派遣した。
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 民間救援団体も活動を開始した中で、キリスト教関係も、世界教会協議会系の「アクション・オブ・チャーチ・ツゲザー」(ACT)や英国の「ディザスター・エマージェンシーズ委員会」(DEC)が緊急援助を検討している。
 カトリック援助団体「国際カリタス」も被害者への緊急援助を決め、救援チームを派遣した。ただポルトープランスの大聖堂も被害を受けており、「カリタス・ハイチ」との連絡はまだ取れていないという。米国の「カトリック救援サービス」は現地スタッフと連絡を取り、事務所が倒壊していないことを確認している。

国内諸団体も支援を呼びかけ
【国際飢餓対策機構】
 同機構のパートナー団体(国際飢餓対策機構・米国、韓国、ドミニカなど)との連係を軸としながら、今後の情勢を見極め、直接的な物資支援や人材派遣なども視野に被災者支援を進める予定。現地関係者からの連絡によると、14日現在、国際飢餓対策機構・ハイチの19人のスタッフ中、現地代表者を含め15人の安否確認が取れていない。
 募金は、記入欄に「ハイチ大地震」と明記の上、郵便振替00170―9―68590「日本国際飢餓対策機構」まで。
【ワールド・ビジョン】
 海外事業部緊急人道支援課課長の坂賢二郎氏が現地時間の17日、ポルトープランスに到着。約40人のワールド・ビジョンスタッフと緊急援助を行うとともに、被災現場でのニーズ調査を始めている。同氏の報告によると、特に被害の大きい中心部は、爆撃にあったかのような有様で、かろうじて倒壊を免れた家に住む人も、地震の恐怖から建物の外で不安な夜を過ごしているという。
 ワールド・ビジョンの緊急人道支援チームは、ポルトープランスとハイチ国境に近いドミニカ共和国ジミニに活動拠点を設け、11の病院とヘルスセンターに医療品を届けたほか、衣料、衛生キット、食糧、水などの緊急支援物資を約2千人の被災者に配布した。
 ワールド・ビジョン・ハイチのフランク・ウィリアム事務局長は被災地の状況について、「多くの建物が崩れ、道にはがれきが散乱しているため、交通が遮断されている」と話した。
 募金は、記入欄に「ハイチ大地震」と明記の上、郵便振替00140―4―900664「特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン」まで。
【日本YMCA同盟】
 世界YMCA同盟及びラテンアメリカ・カリビアンYMCA同盟を通して、現地の人々の緊急支援とともに、中長期的な復興を視野に入れた支援活動を行う。
 ハイチYMCA総主事のGwenael Apollon氏は、「ハイチYMCAのスタッフは一命を取り留めたが、ボランティアやメンバーの安否はまだ分からない。残されたエネルギーをすべて使って、救援活動とこれからのハイチ再建のために力を尽くす」と話した。
 日本YMCA同盟は、緊急支援として2万ドルを世界YMCA同盟(スイス)に送金するほか、全国のYMCAで街頭募金を含む募金活動を展開、アジア、世界各国のYMCAと協力し、先遣隊の派遣を準備する。
 募金は、記入欄に「ハイチ地震」と明記の上、郵便振替00190―6―464236「日本YMCA同盟 地域国際募金口」まで。
【カリタスジャパン】
 カリタスジャパンは、国際カリタス及び現地カリタスと協力して支援を行う。募金は、記入欄に「ハイチ地震」と明記の上、郵便振替00170―5―95979「カリタスジャパン」まで。
【日本キリスト教協議会】
 国際わかちあい委員会は6月30日まで、500万円を目標額として募金を呼びかけている。募金は、記入欄に「ハイチ大地震被災者支援」と明記の上、郵便振替00180―4―75788「日本キリスト教協議会」まで。
【日本福音同盟】
 援助協力委員会は緊急活動を支援するため、米福音同盟の救済機関である「ワールド・リリーフ」など、キリスト教救済団体に義援金を送る。募金は、記入欄に「ハイチ大地震義援金」と明記の上、郵便振替00190―5―7790「日本福音同盟援助協力委員会」まで。

米説教者が暴言? ホワイトハウスも驚き
 【CJC=東京】扇動的な言動で知られる米国の著名な福音派の説教者パット・ロバートソン氏が1月13日、ハイチで発生した地震の責任はハイチ自身にある、と発言した。自ら運営する「キリスト教放送ネットワーク」(CBN)の番組「700クラブ」で語ったもの。「ハイチはかつて、フランスに支配されていた。そこで人々は悪魔と契約したのだ」「だから、それ以来ハイチは呪われ、次々と災難に見舞われている」と述べた。
 ロバート・ギブス米大統領報道官は14日、ホワイトハウスの定例記者会見で、「恐ろしい災害が起きた時にこんなことを言い出す人がいるとは、驚きを禁じ得ない」とコメントした。
 ロバートソン氏はしばしば災害や攻撃の予測を行って問題を引き起こしており、2006年には当時のイスラエル首相アリエル・シャロン氏が重い脳卒中で倒れたのは、ガザ地区撤退で「神の地を分断」、パレスチナ人に土地を譲ったことで神に報復された、と語ったことがある。
 ハイチは、数世紀にわたりスペイン、フランスの植民地支配を受け、先住民やアフリカから連行されて来た奴隷が酷使された後、1804年に反乱により独立したが、今日まで混乱が続いている。

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