公開学習会 佐藤優氏「死刑制度」、「新政権」を語る 2010年2月20日

 「民主党政権になって、司法はどう変わるか?」――作家の佐藤優氏を講師に招いた公開学習会(無実の死刑囚・元プロボクサー袴田巌さんを救う会主催、カトリック東京教区正義と平和委員会共催)が1月24日、カトリック清瀬教会(東京都清瀬市)で行われた。外務省の元主任分析官である同氏は、2002年、背任・偽計業務妨害で逮捕。512日間拘置された獄中体験から、死刑囚が置かれている状況、袴田巌さんを救出するための具体的な戦略、民主党政権後の司法のあり方などについて縦横に語った。

〝人道面での戦いが重要〟
 死刑制度には「原則的には反対」と主張。「わたし自身の経験から、この国には冤罪がある。死刑囚を作り出すよりも、なぜ人を殺すような事案が起きたのかという点を解明して、社会がそれを受け取ったほうが今後の殺人事件も防止することができる。死刑が無いというほうが国家として強い」
 さらに宗教的見地から「どんな形であれ、人が人を殺すべきではない」と述べた。「原則的」と前置きしたことについては、自身がインテリジェンス情報活動の世界にいたことから、死刑廃止国とされるヨーロッパなどでも、ごく一部の特殊な業界では、「処刑」があるためだという。
「国家は究極の暴力装置。その乱暴さをどうやって抑えるかという観点から考えていけばいい。だから、死刑に賛成か反対かと聞かれたらわたしは反対だ」

 袴田事件に関しては、袴田さん自身の健康状況などから、「人道面での戦いが重要」と訴えた。新田渉世さん(新田ボクシングジム会長)らが「洞爺湖サミット」でG8の各国の首脳に、事件、支援活動について働きかけた例を紹介。
「人道という観点から特にEUへ働きかけることは大きい。政権が変わったのだから、今までの自民党政権の時代では通用しないことをやることは大事。さらに宗教人として、公明党、創価学会に対する働きかけは非常に重要」

 今回の政権交代は日本史において、選挙で初めて指導者が変わった画期的な例であるとし、「当然、この流れで、司法は変わる」。鈴木宗男氏が刑事被告人の身でありながら衆院外務委員長に就任したことは、「鳩山政権の第一番目の司法への果たし状」と言い切った。
 小沢民主党幹事長の政治資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件にも触れた。
「特捜検察と小沢氏の全面的な対決で検察が勝ったらどうなるか? すべての政治家、経済人、論壇人も検察の顔色を見るようになる。どちらが勝っても国民にはあまり良いことがない。われわれにとっては関係ない、『あの人たち』のケンカ。ただし検察が勝った場合は、先に民主主義が勝利する可能性はまったくなくなってしまう。袴田さんの冤罪、人道の問題は民主主義の枠の中でしか解決しない。それに対して、民主党がこの危機を乗り越えることができるのならば、鳩山さんも小沢なんも検察は正義の味方とは思っていないので、新しい改革、これは細い改革ではあるけれども、希望が持てるだろう」
 内閣府が6日に公表した死刑制度に関する世論調査(昨年11月末~12月初旬、20歳以上の男女3千人を対象に実施)の結果によれば、死刑を容認する人の割合は85・6%。1994年から5年ごとに行われている同調査では年々その割合が増えており、今回の結果は過去最多だという。

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