死刑廃止求め「フォーラム90」結成から20年 辺見庸氏〝「殺人に耐えられるか」〟 2011年1月22日

 市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」が結成されて20年。死刑廃止運動への新たなスタートへ向けて12月19日、日比谷公会堂(東京都千代田区)で「死刑のない社会へ 地球が決めて20年――日比谷公会堂大集会」が開催された。フォーラム90結成時の20年前と同じ場所での大集会となり、約1800人が詰めかけた。

 プログラムでは、作家の辺見庸氏による講演をはじめ、元確定死刑囚で再審無罪となった免田栄さんや赤堀政夫さんによるアピール、安田好弘(弁護士)、森達也(映画監督)、中山千夏(作家)、加賀乙彦(作家)の各氏らによるパネルディスカッション、神田香織氏による講談などが行われた。

 辺見氏は「国家と人間のからだ――私が死刑をこばむ理由」の主題で講演。1989年、死刑廃止国際条約が国連総会で採択されたのを受けてフォーラム90は発足、20年が経過したことをふり返り、「この20年で、84人の人が絞首刑によって殺された。もっと多い数で殺人事件が行われているのも事実だが、リアルな命を殺す行為と84人の『殺人』はどれほどの変わりがあるのか見据える必要がある」と述べた。

千葉元法相の「執行」を批判

 辺見氏は、民主党政権最初の死刑執行が昨年7月28日、当時の千葉景子法相によって行われたことを「かなり強いショックを受けた」とし、痛烈に批判した。

 2005年、杉浦正健法相(当時)が「死刑執行命令書にサインしない」と発言、その後発言を撤回したことに千葉氏が「死刑制度に疑問を持っているのであれば、廃止に向けた姿勢を断固貫くべきではないか」と国会で追及したことに触れた。「杉浦さんは保守の政治家であったが、個的な信念があり、在任中に一人として死刑執行はしなかった。千葉さんは人を難詰しておきながら、死刑モラトリアムがちょうど1年目を迎える日に、サインした」

 社会党副書記長を経験し、社民党の副党首も務め、アムネスティの議員連盟事務局長、死刑廃止議連のメンバーでもあった千葉氏を「絵に描いたような正義を主張してきた人」と述べ、「あまりにも見事な背信」と語った。

 「千葉さんの心の底にはどんな色や形、重さをしたバラスト(心の重し、思想の根幹)があるのか。それはわたしや皆さんのバラストと違うのか同じなのか無関係なのか、それを考えることなしに、死刑廃止運動をもう一度突き動かしていく主体にはなり得ないのではないか」

 さらに、06年のクリスマスに4人の死刑囚の刑が執行されたことを紹介。辺見氏によると、そのうちの一人は75歳の車椅子生活者だったという。「クリスマスだからどうというわけではない。ただ、車椅子生活者を無理やり立たせ、おびえ、震え、失禁して、助けてくださいと言っている老人を両脇から押さえつけて首に縄をかけて絞め殺すという風景のリアリティに、どのような大義名分であれ、耐えられるのか、ということ。黙って見ることのできる風景なのか、子どもに伝えることのできる景色なのか、ということ。宗教の如何を問わず耐えられないと思う。わたしは、教誨師の存在が本当に信じられない。その場にいたら、やめてください、と言う以外にないのではないかと思う」

【メモ】
 「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」=死刑の廃止を願う人たちが一堂に会することができる場を設定し、死刑廃止国際条約の存在とその批准を広く社会と政府に訴えるため、1990年に結成された。

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