こひつじ文庫 「子どもの心に響く絵本を」 選定の心がけを永山篤子氏に聞く 2011年2月26日

 今年で29年目を迎えるキリスト教幼児教育ブッククラブ「こひつじ文庫」が、2011年度の会員を募集している。登録すると、ロングセラー絵本を中心に、子どもの成長や季節感、保育園・幼稚園の行事などを考慮した絵本が毎月1冊ずつ届けられる仕組み。同文庫の最終選定者の1人、長山篤子氏(キリスト教保育連盟理事長)に話を聞いた。

 近年は園や図書館での絵本の貸し出しが充実しているが、「子どもが自分の宝物として絵本を持ち続けることの大切さ」を強調する長山氏。「2、3歳の時に出合って、宝物として大人になってからも持ち続ける。絵本をくれた人の印やメッセージが書いてあると、その時の気持ちもよみがえってくる。また、それを自分の子どもに語り聞かせることができる」と、その意義を語る。

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 「こひつじ文庫」は、こぐま社、福音館書店、至光社の3社を軸に、女子パウロ会、日本キリスト教団出版局、岩波書店の協力のもと、1982年に活動を開始。全国29のキリスト教書店が特約店として参加し、保育園・幼稚園との窓口になっている。

 「キリスト教幼児教育」を特色とし、①聖書のテーマ(信仰・愛・希望・平和など)をもりこんだもの、②美しい自然、ゆたかな季節を賛美したもの、③やさしく、楽しく、しかも感動して繰り返し繰り返し読むもの、④絵本として優れたもの、⑤特徴ある「絵本ブッククラブ」を目指し、アドバイザー書き下ろしの「読み聞かせの前に」を各絵本に毎月差し込むこととする、の五つの柱を掲げている。

 出版社が絵本を選定するのではなく、第三者のキリスト教幼児教育専門家による「アドバイザー制度」を取り入れており、斉藤美恵子(北海道千歳幼稚園園長)、景山あき子(雙葉学園中学・高校講師)、島多代(日本国際児童図書評議会会長)、松隈玲子(西南女学院大学短期大学部名誉教授)、鈴木道子(広島聖公会学園聖モニカ幼稚園園長)の各氏が選んだ絵本をもとに、細井保路氏(逗子カトリック教会司祭)と長山氏が最終的な選定を行う。

              

 現在、和泉短期大学特任教授として「絵本の読み聞かせ」を学生にも指導する長山氏は、「こひつじ文庫」の選定に20年以上携わっている。「魂への呼びかけ」を大切にし、子どもの心に響くような絵本の選定を心がけているという。

 創設の理念である「キリスト教信仰に基づいて子どもたちに呼びかける」ことを第一とし、長山氏独自の見解として、「子どもの生活体験が豊かに再現され、幸せを感じさせるもの」、「文章に用いられている『ことば』が、子どもが経験する『ことば』と一致していること」、「子どもの心の経験が表現されているもの」、「芸術的、美術的センスに富むもの」、「文と絵が乖離していないこと」、「物語として想像性を豊かに感じさせるもの」、「指定出版社より推薦を受けたもの」という七つの基準を設けている。

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 「こひつじ文庫」は、「めだかコース」(2歳~、12カ月合計1万2千915円)と、「くじらコース」(4歳~、12カ月合計1万6千44円)の二つのコースがあり、それぞれ12冊の絵本がラインナップされている。4月は「めだかコース」が『おうちのともだち』(柳原良平、こぐま社)、「くじらコース」が『ちびっこ ぴいた』(こばやしえりこ、こぐま社)を配本予定。こひつじ文庫特約店を通して、各キリスト教主義保育園・幼稚園で配布されている専用封筒に必要事項を記入し、園に申し込む。問合せは、こひつじ文庫推進委員会(日本キリスト教書販売株式会社内、℡03・3260・5670)まで。

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絵本セミナー 8月に開催 東京・多摩

 こひつじ文庫特約店、出版社、取次(日本キリスト教書販売株式会社)で構成される「こひつじ文庫推進委員会」は、絵本の読み聞かせの大切さを訴え、その大事さを学ぶための絵本セミナーを8月5~6日に開催する。場所は桜美林大学多摩アカデミーヒルズ(東京都多摩市)。佐藤英和(こぐま社取締役会長)、にしまきかやこ(絵本作家)、小風さち(絵本作家)、沢知恵(歌手)の各氏が講師として参加予定。同セミナーは97年から毎年開催されている。

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