留岡幸助の試練描く――映画「大地の詩」 主演・村上弘明さん語る 2011年3月19日

 「北海道家庭学校」の創設者であり、〝不良少年更生の父〟と呼ばれた留岡幸助の生涯を描いた映画「大地の詩(うた)」がこの春公開される。

 主役の留岡幸助を演じたのは、NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」で編集長・深沢役を好演し、現在、朝日放送・テレビ朝日系列で放送中の「悪党~重犯罪捜査班」にも出演する村上弘明さん。北海道での撮影秘話や役作りについて話を聞いた。

〝ロケ地での言葉に励まされて〟

――今回の役のために聖書を読まれたようですが、実際に読んでみての感想は?

 非常に面白いですね。読むまでは、もっと清廉潔白なヒーローの話ばかり書いてあるのかと思っていましたが、すごいことが書かれてるなと(笑)。非常に人間的な部分も赤裸々に描かれている気がします。後の映画や文学など、あらゆる作品のベースは聖書にあるんだなということを実感しました。

――留岡幸助をどんな人物としてとらえていますか?

 時代が変わっても、平民の子どもたちは元侍の子たちから蔑まれても理不尽だとは思わなかったと思うんです。でも、それに毅然と立ち向かったという留岡少年はすごいなと。かなり気の強い子だったんでしょうね。

 そんな中で、「人間は生まれながらにして平等かつ公平」という宣教師の教えに衝撃を受ける。そこに留岡幸助の原点があったと思います。たとえ耶蘇と言われて、父親から折檻されても命をかけた。

 彼は兵隊の試験に落ちたぐらいですから、体が強いわけではなかったはず。まして未開の地だった北海道に、妻子を連れてどうやって行ったのか。途中でいつ死んでもおかしくない状況だったわけで、まさに自殺行為です。それに費やした技術や情熱は、何かを信じようと思わなければ決して生まれなかったと思います。よく「生涯をささげた」って簡単に言いますが、そのエネルギーたるや、すごいなと思います。

――撮影中の思い出は?

 北海道での撮影は充実してましたね。スケジュールもタイトで台詞も大変だったんですが、大自然の中で、天気にも恵まれ、自ずと気持ちも引き締まりました。

 網走ロケの後に1日休暇があって、遠軽にある家庭学校へ見学に行きました。次の日、かなり長い台詞の講演シーンの撮影があって、「大丈夫かな、大丈夫かな」と憂鬱だったんです。そうしたら、その講堂の正面に「難有」という書が掲げられていました。どういう意味ですかと案内してくださった方に聞いたら、「困難に感謝しなさい。神様は乗り越えられない試練は与えられない」と教えていただき、「なるほど。明日の撮影は大丈夫だ」ととても勇気づけられました。不思議な体験でしたね。

――ご自身と留岡幸助との共通点は?

 僕も子どもが4人いるんですが、父親らしいことは何もできていません。俳優という仕事柄、撮影前から自分の世界に入って、その作品のためにああしよう、こうしようと考える。今回も撮影で北海道に滞在し、家庭を留守にする。言ってみれば家庭を犠牲にしているわけですね。でも、作品を見てくれる人たちのために表現者としての使命を全うする。

 留岡幸助とは分野もスケールも違うかもしれませんが、自分の使命が全うできるという意味では、互いに幸せな人生だなという感じがしています。だからこそ、家族や周りの方々には本当に感謝したいですね。

〝信じる気持ち大切に〟

――日本のキリスト教会へメッセージがあればお願いします。

 潜在的には、みんなクリスチャンに近いと思うんです。ただ、カミングアウトしていないだけ。本当に100%信じることができたら、こんな素晴らしいことはないなと思いますね。信じるということがなくなってきた今の世の中、信じる気持ちは大切に守っていかなければいけないんじゃないでしょうか。

――今出演されている「悪党」の役は、留岡幸助と対照的ですね。

 僕も俳優生活31年目ですが、こんなに極端な役柄を続けて演じたことはないですね。ある意味、役者冥利に尽きるというか。やはり、今のような「悪党」を演じた後は、もう一度こういう役に戻りたいと思いますね。贖罪というか、心を洗いたいというか(笑)。

――山田火砂子監督については?

 母と同い年なんですが、パワフルですね。留岡とはまた違った頑固さというか(笑)。ご自身の使命に忠実という意味では、共通しているかもしれません。今後もまた機会があれば、こうしたメッセージ性を持つ大事な作品には、何らかの形で携わっていきたいですね。

――ありがとうございました。
(聞き手・松谷信司/撮影・春田倫弘/3面に関連記事 インタビューの全文は4月発行の次号「Ministry」に掲載予定)

【メモ】
 村上弘明(むらかみ・ひろあき)=1956年、岩手県生まれ。「仮面ライダー スカイライダー」主役でデビュー後、「必殺シリーズ」鍛冶屋の政役などでブレイク。NHK 大河ドラマでは「炎立つ」第2部主演ほか「春の波涛」「武田信玄」「秀吉」「元禄繚乱」に出演。NHK「腕におぼえあり」シリーズ、「柳生十兵衛七番勝負」「銭形平次」など主演作品多数。毎週金曜夜9時放送のドラマ「悪党~重犯罪捜査班」の前島隆造役でレギュラー出演。

【大地の詩~留岡幸助物語~】
 幼くして商家の養子となり、不平等な身分社会に憤りを感じていた幸助(村上弘明)は、キリスト教に入信して同志社英学校に入学する一方、「遊郭」と「監獄」という社会の二つの暗黒面の存在を知り、監獄改良を訴え続けたジョン・ハワードの伝記に強い影響を受ける。監督は、「筆子・その愛――天使のピアノ」が日本児童福祉文化賞を受賞した山田火砂子。4月9日より全国順次公開。(2011年/116分/製作・現代ぷろだくしょん/公式サイトhttp://www.gendaipro.com/tomeoka/)

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