カトリック映画賞 授賞式で監督講演 〝排除するな〟が学校のテーゼ 2011年6月11日

 シグニス・ジャパン(カトリックメディア協議会、千葉茂樹会長)は5月28日、2010年度の「日本カトリック映画賞」の授賞式を川崎市アートセンター(川崎市麻生区)で行った。受賞作品は、太田直子演出・グループ現代制作の「月あかりの下で――ある定時制高校の記憶」。

 本作は、埼玉県立浦和商業高校定時制のあるクラスが舞台。入学から卒業までの4年間、そしてその後へと、生徒に寄り添ったドキュメンタリー。演出、撮影、編集、ナレーションと、太田氏が一人で担当した。

 授賞式では、会長の千葉、副会長の土屋至氏、晴佐久昌英氏(東京教区司祭)らが登壇した。授賞理由を述べた晴佐久氏は、定時制高校にやってくる若者たちの〈学校=居場所〉をていねいに描いていることをあげた。「わたしも若いころは居場所を求めて苦悩した。この映画を見ていると、迎えてくれる人がいる場所はいいなあと思う。実は、皆にとっての居場所作りをしているのがカトリック教会であり、迎え入れているのがイエス・キリスト」

 高校の非常勤講師、書籍編集などの仕事を経て映像の仕事に就いた太田氏。上映後の講演会では、「この高校が統廃合の対象になると報道されたことがきっかけ」と、制作の動機を述べた。当初、4年も撮影し続ける予定ではなかったという。

 また、映画に登場する女子生徒に「盗撮ババア」と呼ばれていたことについて、「酷い言葉であっても、いつもかまってくれる優しい子たちで、無視されることはなかった」と振り返った。

 太田氏は撮影当初(2002年4月~06年3月)、入学式にジャージで登校したり、ピンヒールで机に寝転がる生徒たちを先生たちはなぜ受け入れているのかという疑問を隠せなかったが、次第に居心地の良いものに変わっていったと話す。

 「『排除するな。嫌いでもいいからその存在を認めろ』という先生の考え方が、学校のテーゼとして大切にされていた」

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