粘り強く獲得した信頼 ルーテル支援センターとなりびと 東京で活動報告 2011年8月20日

「祈ってくれ」と言われ
 東日本大震災の被災者支援のために、ルーテル各派が合同で3月に立ち上げた「ルーテル教会救援対策本部(JLER)」(青田勇本部長)。宮城県における支援活動の拠点として、仙台市青葉区の日本福音ルーテル仙台教会内に「ルーテル支援センターとなりびと」を設置している。現地スタッフの1人として4月から支援活動にあたる遠藤優子さんによる報告会が7月30日、東京都三鷹市のルーテル学院大学で開催された。ボランティアとして現地に足を運んだ関係者など、約30人が参加した。

 JLERは、日本福音ルーテル教会、日本ルーテル教団、西日本福音ルーテル教会、近畿福音ルーテル教会の共同事業として立ち上げられた。現在、牧師を含む9人のスタッフを派遣している。これまで、気仙沼市、石巻市、東松島市で支援活動を展開してきた。気仙沼市では、精神科病院「光ヶ丘保養園」と介護老人保健施設「リバーサイド春圃」の再建を支援。東松島市では、介護事業所「すみちゃんの家」の再建支援や、宮古島の復旧支援を行っている。
 石巻担当の遠藤さんは、同市災害ボランティアセンターのスタッフとして活動を始め、十三浜漁協の船の購入支援、河北町の避難所・仮設支援などを続けてきた。7月からは北上町の本地生活センターを拠点として、付近での草むしりや大豆作りも行っている。「被災地域が格段に広く、被災のレベルも非常に複雑」だという石巻市。都市部や漁村部、農村部など、さまざまなタイプの被災者がおり、支援活動も多岐にわたることを紹介した。
 市内の体育館で働くボランティアグループから、「子どもたちが荒れている」との相談を受けたこともあったという。津波ごっこ・地震ごっこなどの遊びや、暴言・暴行が目立つようになってきたという内容であった。遠藤さんは、ルーテル学院大学の教授や、学院関係の精神科医に相談。「家庭に問題のあった子どもが、津波の影響でさらに荒れているのかもしれない」と考え、ボランティアの入れ替わりが激しいことも一つの要因であるとして、子どもたちが安心して遊べる環境を作るため、長期ボランティアを2人派遣することになった。
 また、女性の被災者からの要望を受け、「石巻の女性を元気にするプロジェクト」を展開。包丁とまな板のセットや、シャンプー・化粧品などの詰め合わせを配布したところ、大好評だったという。花の配布や茶会なども行ってきた。
 当初、現地で「ルーテル教会救援」という名刺を見せると、宣教を目的とした活動だと警戒されたこともあったという。しかし支援を続けるうちに、「キリスト教はなんでそんなに親切なんだ」と尋ねられたり、「祈ってくれ」と言われるようになり、今では、親しみを込めて「ルーテルさん」と呼ばれている。

“教会に被災地の様子伝えて”
 「となりびと」のスタッフは、現地で活動する日本聖公会の「いっしょに歩こう!プロジェクト」や、日基教団鳥居坂教会の「かえでのおつかいグループ」、仙台市に管区本部を置くカトリック・オタワ愛徳修道女会とも協働している。「現場では、それぞれの団体のカラーが出てきた。そこを上手く補い合いながら、より中長期的な活動に向けてネットワークを組んでいくことがますます重要になってくる」と遠藤さんは指摘する。
 8月末までに日本全国から訪れたルーテル関係のボランティア数は、242人。「実際に被災地を訪問して、各教会にメッセンジャーとして現地のようすを伝えていただくことが大事」だと語る。「忘れられ、取り残されることが、地元の人も現地スタッフも一番怖い。1人でも多くの方が被災地のことをおぼえ、祈ってくださることが大きな力になる」。
 JLERの活動報告やボランティア募集要項は、「ルーテルとなりびと」のブログ(http://lutheran-tonaribito.blogspot.com/)で公開している。

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